岩泉一 ページ10
妄想題:マフラー
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「あっ」
岩泉「どうした?」
「教室にマフラー忘れちゃった」
すっかり冷え切った冬の夜。
偶然クラスメイトの岩泉と校門で会って、なんとなく一緒に帰る流れになった。
なんか寒いなあと思って歩いてたらマフラー忘れてた。
カバンをガサゴソ探す私を見て「取りに戻るか?」と言ってくれるけど、寒さにやる気を奪われてとても戻る気にはなれない。
「んー、めんどくさいからいいや」
岩泉「そうか」
ゆっくりだった足を再び早めて歩き出す。
「…春高」
岩泉「……」
「惜しかったねー…」
岩泉「ああ」
「応援に熱入りすぎて泣いちゃったもん私」
岩泉「見てたのか?」
「当たり前じゃん」
「クラス中で応援してたよ」と言ったら「サンキュ」とだけ返ってきた。
「みんな輝いてて、ほんとにバレー好きなんだねえ」
岩泉「…そうだな」
鼻をマフラーにうずめて少しだけ笑う岩泉。
あ、いいな。青春してるって感じ。
「及川のトスとか、花巻のレシーブもかっこよかったけど、私は岩泉が一番かっこよくみえた!」
岩泉「…おう」
「サーブもすごくて…ジャンプして打つやつ!あとブロックをバーンってやっつけちゃうスパイクもかっこよかった!」
岩泉「……おぅ」
「おうしか言わないなあ笑…って、岩泉?顔赤いよ?」
岩泉「なんでもねえ」
「え、でも、めっちゃあか、」
岩泉「っ!なんでもねえから!」
「大丈夫?」と顔を覗き込むと、さらに顔を真っ赤にして叫ぶ岩泉。
「なんでもないならいいけど…」
岩泉「…」
「私、好きだよ。いわい、」
岩泉「はあ!?!?」
岩泉のプレー。と言い終わる前に岩泉の声が私の言葉を遮った。
岩泉「なに言ってんだお前!?」
「え?なにって、好きって」
岩泉「もういいから黙れ!!」
「ええ…?…はっくしゅん!!」
岩泉「……!!」
すっごく理不尽なやりとりに困惑してると、くしゃみが出た。やっぱり取りに戻ればよかったかなあ。
岩泉「…これ、貸す。じゃあな!」
「え、ちょっと!岩泉!?」
岩泉は私の首にキュッと雑にマフラーを巻き付け走って行ってしまった。
「(あったかい…)」
.
これも青春じゃん?
.
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岩泉「…っしゃ!」
及川「あれー?岩ちゃんじゃーん!なになに?1人で歩きながらガッツポーズしてるとか変人、」
岩泉「くそかわ黙れ!」
及川「いでっ!いでででで!」
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作者名:もぐ | 作成日時:2017年8月11日 0時