及川徹 ページ14
妄想題 : 牛乳パンのあいつ
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「ふんふふーん。今日の晩ご飯なにかなー…って、あそこにいるのは…」
放課後、部活中の友達に会いに行こうと体育館の通路を歩いていると、見覚えのある顔が見えた。
壁に拳なんか突き立ててなにしてんだあいつ。
「…ねえ、なにしてんの」
及川「…！おまえこの前の…」
「休憩中？」
及川「……そうだけど」
声をかけながら近づけば「くんなよ！」と叫ばれたけど無視して及川の隣に腰を下ろした。
及川「あっち行けよ！」
「相変わらずガキだなー」
及川「ほんっとにムカつく！」
「もー、休憩なら座りなよ！」
及川はしばらくそっぽを向いてたけど移動しない私に観念したのか、何とも言えない顔をして隣に座ってきた。
「で、なんで壁殴ってたの？」
及川「おまえには関係ない」
「…うわー、こんな頭空っぽがキャプテンなの？」
及川「何それ！俺はちゃんと考えてるよ！今だってどうしたらみんなで勝てるかって…！」
「なに、チームについて悩んでるんだ」
及川「うっ…！」
わかりやすすぎてちょっと笑いたいのを堪えながら「うちのバレー部ってめっちゃ強いんでしょ？」と聞くと、「そうだけど…」と口をとんがらせている。
及川「それでも1番にはなれないかもしれない」
「…」
及川「最後なんだ。岩ちゃんもマッキーもまっつんも。…俺も。」
悩み聞いてやるかーくらいの気持ちでいた私には重すぎる悩みだ。及川ってこんな真剣にバレーやってるんだ。
「…キャプテンとかそんな簡単になれるものじゃないし、しかもこんな強豪校で。及川すごいよ。みんなのこと信じてるんでしょ？そのままでいいんじゃん？」
及川「うん…」
素直に私の言葉を聞く及川になんだか恥ずかしくなって「私だったら文句言うけど」と嫌味たっぷりに付け加えてやった。
及川「おまえほんとかわいくない…」
「及川も私の前だとかっこよくないね。他の女子からはあんなにキャーキャー言われてるのに。」
及川「ほんとに口が減らないな！」
「あははは！うん、そっちの方がいいよ。しょげられると調子狂う」
及川「…休憩終わるから戻る」
「おー」
ぷいっと立ち上がって行こうとする及川に手を振る。
扉が閉まる直前、一度だけ振り返って及川は言った。
及川「……ありがとうA」
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「名前知ってたの！？」
及川「え、だって同じ学年だし…」
「……騒がれてるだけあるわ」
続く
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作者名：もぐ | 作成日時：2017年8月11日 0時
