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死柄木「…今日は遅かったな」
「…!」
許可を貰うのに戸惑っていつもより遅めに病院を出た
あの場所には既に彼がいて
「今日も、来てたんですね」
死柄木「まぁな」
お互い、会いたかったなんて言わず
ただ偶然を装って
4月、久々にぽかぽかとする陽気
ワンピースに上着を羽織って
彼に会う為にこれを着たなんてのは内緒で
死柄木「…こっち来いよ」
「お邪魔します」
ぽんぽんと隣に座れと催促されれば遠慮なく座る
そうだ、今日は名前
名前を聞きたいんだ
「「あの、 / なぁ…」」
「「…」」
あ、重なった
タイミング
死柄木「……」
お前から話せというような視線
恥ずかしくて顔を彼から逸らせば
「…名前、教えてくれませんか」
死柄木「……」
思い切って聞いてみた
教えてくれないならそれでいい
静まる空間
ダメかとチラリ彼を見れば
死柄木「…死柄木、」
「し…死柄木、さん…」
目が合った
その瞬間聞こえた声
名前を思わず繰り返すように声に出せば
満足そうに笑みを浮かべる彼_
死柄木さん
死柄木「アンタは?」
「わ、私は…轟…です、」
死柄木「轟…?違う、下の名前」
「下…?A、です」
死柄木「…A、」
いきなり名前を呼ばれて
ふわりと伸びてくる彼の手
思わずぎゅっ…と目を瞑ってしまえば頰にくすぐったい感覚
どうやら人差し指で撫でられているようで
「……っ…」
顔に熱が溜まるのが分かる
ダメだ、こんなの
普通に保たない
死柄木「…Aは、いつもココにいんのか」
「…外へ出れるときは…いつもいます」
そっと指が離れれば目を開ける
死柄木「…変なヤツ」
「言われ慣れてますよ」
だって
貴方に会いたいから…なんて言えない
死柄木「…もう行く、」
「…そうですか」
パッと立ち上がれば背を向けて歩き出す彼
まだ2人で話していたいのに
死柄木「…その服、悪くない。でも上着、淡赤の方がいい」
いきなり立ち止まったと思えばかけられた言葉
「…淡赤…」
" またな "
そう言い手をひらひらと振り行ってしまった彼
そんなのずるい
だって
淡い赤色って
「死柄木さんの色じゃん…」
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ゼロ - 死柄木さんだ!嬉しい!面白いので続き楽しみにしてますね! (2019年6月30日 22時) (レス) id: 970f7c33df (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:啓培 . | 作成日時:2019年6月29日 18時