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向かいながら二人して鍋を突く。
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温かくて、大切な時間…のはず。
けど、今日はどことなく違う雰囲気だった。
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大量の野菜達を消費出来るか、なんてことよりもっと心配なことが増えるの。
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それは、
今の目の前の蓮くんには一切笑顔がない。
ただ、無表情で食べ進めるだけで、
『美味しい』そんな言葉だってない。
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いつもの蓮くんじゃ絶対考えられないこと。
帰って来てから目だって全然合わせてくれない、し…
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あ 「…そういえば蓮くんのクラス『執事カフェ』やるんでしょ?執事の服着ちゃったり?ほら、ドラマとかでよく見る、さ…」
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慣れない無言に耐えがたかった私は、無理やり話題を作る。
平然を取り繕うけど全然そんなことなくて。
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目の前の蓮くんと目が合う。
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いざ、彼の方から視線を合わせられると、逸らしてしまうっていう私だ。
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あ 「蓮くんかっこいいから、女の子がまたキャーキャー言っちゃうね…?」
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無言で食べ進めていたこともあって、鍋もあっという間に空に近い。
煮え切って温かくなった鍋に、ガスコンロの火を止めた。
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箸を揃えて、ゆっくり机に置いた彼は、
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目 「A、」
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力強い声でそう私の名前を呼んだ。
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彼は私を真っ直ぐ見つめている。
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あ 「…な、に?」
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彼の熱い眼差しについ声が震えた。
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目 「昨日、本当は…文化祭の準備してたんじゃないんでしょ?」
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あ 「えっ…昨日は、文化祭の準備で…!」
目 「嘘。俺、全部知ってんだから」
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そしてすぐに図星を突かれた答えが。
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『しょっぴーの家行ってたの?』
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なんで、蓮くんがそんなこと知ってるの…?
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あ 「これ片付けちゃうね…?」
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空になった皿を素早く手に取り、立ち上がる。
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このままだと昨日のことを全部思い出して、顔に出てしまいそうで…
だから、私なりに逃げ道を探した結果がこれだった。
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でも、無駄なんだよね、
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年頃の男の子の力になんて到底敵うはずがない。
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あ 「蓮くん…」
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目 「…っ」
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突然掴まれた腕。強く床に押し付けられると、
蓮くんの端正な顔立ちが上から私を見下ろす。
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こんなに冷たい蓮くんを見るの、初めてだよ…
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くろーばー。(プロフ) - Hirokoさん» 完結までお話を見届けて下さって本当にありがとうございました(*´-`)嬉しいです……楽しんで頂けたなら何よりです………!少々お時間かかるかもしれませんが、是非楽しみにしていて下さい( ´ ▽ ` )これからもどうぞよろしくお願い致します…! (2021年3月22日 19時) (レス) id: 79d5f78059 (このIDを非表示/違反報告)
Hiroko(プロフ) - 完結おめでとうございます。公開されてからずっと楽しく読ませていただきました。番外編の公開も楽しみにしています。これからも応援してます。 (2021年3月21日 22時) (レス) id: 09d5d808f8 (このIDを非表示/違反報告)
くろーばー。(プロフ) - Mさん» Part1から長い間ご拝読下さり本当にありがとうございました(*´-`)キュンキュンして頂けたならよかったです(T-T)番外編ですね…!お時間はかかるかもしれませんが、是非前向きに検討させて頂きますね(^ν^)これからもどうぞよろしくお願い致します! (2021年3月21日 20時) (レス) id: b55b4bc03b (このIDを非表示/違反報告)
くろーばー。(プロフ) - mitsuwakoさん» 最後までご拝読下さり本当にありがとうございました(*´-`)結果蓮くんと結ばれました…!しょっぴー少し切なかったですね(>_<)だからこそ応援したいですね…これからもどうぞよろしくお願い致します( ; ; ) (2021年3月21日 20時) (レス) id: b55b4bc03b (このIDを非表示/違反報告)
くろーばー。(プロフ) - kayoさん» 最後まで見届けて下さり本当にありがとうございました( ´ ▽ ` )淋しいとおっしゃって頂けて本当に嬉しいです…!公開まで少しお時間は頂くと思いますが、是非楽しみにしていて下さい(*´-`)!! (2021年3月21日 20時) (レス) id: b55b4bc03b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くろーばー。 | 作成日時:2021年3月1日 20時