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この二週間、こんなに遅れてくることはなかったから、嫌でも考えてしまう。
やっぱり嫌だったのかな。
私に英語教えるの、面倒だったのかな。
じわり、と視界がにじむ。
珍しい、私がこんなにぐるぐる考えるなんて。
思ったことはすぐ行動!っていうタイプだし、ポジティブな人間だから、ちょっと病みだした自分にびっくりする。
教室に誰かいるわけじゃないけど、私は両手で顔を隠した。
卒業式でも泣かない私が、こんなちっちゃいことで泣きそうになってるのを見られたくなくて。
手で覆われてまっくらになった世界で、そのぶん敏感になった耳が、遠くの足音をとらえた。
どんどん近づいて来て、足音も大きくなってきて、
私が顔を上げるのと同時に教室のドアが開いた。
「ほんとごめんっ、待ったよね…?」
かすかに肩で息をしている真冬は、雪のような頬を少し赤く染めて、二週間前と同じセリフを口にした。
忘れられてなかった。
しかも、こんなに急いで来てくれた。
嬉しい気持ちがあふれそうで、でもどうにかしてセーブしようとして、飛び出したのはめちゃくちゃにどーでもいい言葉。
「…廊下、走っちゃダメなんだよ?」
あまりにも場違いな私の言葉に、真冬はふふっ、と声を出して笑って、一枚の紙を差し出した。
「A、二週間頑張ったから。最終確認テストやってて! 終わったら帰っててもいいよ。」
半ば押し付けるように紙を渡すと、また急いでどこかへ行ってしまった。
…えーー。
せっかく、Aさんが恋する乙女やってたのに。激レアだよこんな女子っぽいの。
なんでテストかなぁ…。やだなぁ…。
ぶーぶー文句を言いつつ、仕方なくテストと向き合う。えらい。
―――
〈問一〉次の問いかけに対し、英語で返事をしなさい。ただし、素直にAの本当の気持ちを回答すること。
(1)Mafuyu: Actually, I have loved you since many years ago. How about you?
(2)Mafuyu: I promise that I always make you happy! Could you become my girlfriend?
―――
パッと見て、最初に感じたのは、違和感。
問題文がよくわからない。なんだこれ、こんな問題見たことない。
少し眉をひそめつつ、シャーペンを握る右手に力を入れる。
まずは、ひと単語ずつでいいから日本語に訳していくんだっけ。
真冬のアドバイスを思い出して、頭の中の辞書を引っ張り出す。
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ちょこ - かのこゆりさん» いえいえ、おかえりなさいです!コーヒーのお話、切なくてよかったです!また、コーヒーの違ったエンドや、コーヒーのまふくんsideも欲しいです! (2020年9月19日 10時) (レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
かのこゆり(プロフ) - ちょこさん» コメントありがとうございます!返信遅くなってしまいすみません。実は受験生でして、受験勉強に集中するため活動休止していました。無事合格通知が届いたので、まもなく執筆再開予定です!気長に待っていただけると幸いです〜! (2019年12月25日 11時) (レス) id: fcfa2aebad (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - 更新が止まってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます!あとコーヒーの方のまふぃくんさお殿お話も!(´;ω;`) (2019年12月5日 20時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
かのこゆり(プロフ) - ともさん» コメントありがとうございます!すごく嬉しいです…。この作品は、キーワード(「喫茶店」など)を交換しお話を書く、という一風変わったコラボになっております。実はあと2作品分のキーワードを頂いていて、現在執筆中です!気長に待っていただければ幸いです! (2019年10月26日 23時) (レス) id: a6d1b02f5a (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 好きです!続き待ってます! (2019年10月24日 20時) (レス) id: 25fb5b2d6d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かのこゆり | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kanokoyuri/
作成日時:2019年10月3日 23時