10月、恋は現在進行形。【まふまふ】【お話つめあわせ】

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「えと、Aは、現在完了形と進行形については理解してる？」
隣の席の椅子に座って、シャーペンを握って、聞いてくる。

「……」

「…おっけー、じゃあまずそこから説明するね…。」


結局、このまま教室に残って、完全下校時刻の７時半まで勉強することにした私たち。

真冬は、６月から９月までの３か月間、アメリカに留学していた。
もともと英語は得意だったけど、ネイティブみたいにぺらっぺらになって帰ってきて、最初はびっくりしたっけ。

うちの高校は一応進学校だから、英語が得意な生徒はたくさんいるけど、真冬の英語はずば抜けて上手い。
とにかく発音がめちゃくちゃきれい。

スピーチなんか、話し始めれば、つらつらぺらぺらと出てくる出てくる。
真冬はどちらかというとおしゃべりなタイプじゃないのに、「なにアメリカ人乗り移った？」ってくらい陽気で元気なキャラになるし。

まあとにかく、真冬の英語力は本物だってことです。なんせ本場仕込みの英語ですから。



とりあえず現在完了形と進行形から教えてもらって、教科書読んで、課題教えてもらって、一時間なんてあっという間に経って、今に至る。


…なんと！ 課題が一時間で終わった！！
しかも、ほんとになんとな〜くだけど、文法も分かってきた(かも)！
真冬先生ばんざいです！！ 最高ですありがとうございます！！



「ありがと、めちゃめちゃ分かりやすかった！ 明日も教えてくれない？」
気分に任せて聞いてみると、真冬はふわりと天使みたいに笑った。


「Aが素直なの珍しいし、純粋に教えるの楽しいから、明日からもみっちり授業するよー！」


…全然天使じゃなかった。

快諾してくれたのは嬉しいし、絶対勉強になるからいいんだけど。だけども。
もうちょっとさ、ゆるりとのんびりとやる感じじゃダメなんですかね…？


「え、なにいってんの。テスト２週間後って書いてあんじゃん。」
一蹴されました。すみません先生。

まあいいや、英語の点数上がるんなら。


そんなこと口で言いつつも、ほんとは嬉しい。飛び跳ねそう。
だって、これから真冬と毎日一緒にいられるってことでしょ？


ただの仲良し幼馴染を演じてるけど、実は真冬のことが好きだったり、するんだよね。たぶん。


あっちは友達としか思ってないだろうし、なんなら自分でもこれが恋かよく分かってないんだけど。

まあいわゆる「片思い」ってやつだと思うけど。

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