メゾン・ド・ポリスの六人目【文スト】

１８話（過去編） ページ21

私の【本当の】両親は、毎日喧嘩をしていた。



「出て行け！お前の顔が目障りだ！」



「こっちの台詞よ女たらし！さっさと出て行って！」



子供の前だと云うのに、顔を合わせれば喧嘩ばかり。



私は其れを、隣の部屋で聞いていた。




耳を塞いで、目を閉じて、出来るだけ感覚に入れない様に。





父親はろくに帰って来ないし、母親は機嫌が悪いと私を殴ってきた。



気が付いたら父親は帰って来なくなった。


ご飯が無いのなんてしょっちゅう。お陰で背が伸びなかった。体重も増えなかった。



でも私には、其れと引き換えに不思議な力があった。



触れた物を【進化】できる異能。



私が触れた物は、偶に訳の分からない程の速度で成長していった。






でも其れを見た母親は私を殴って、「この忌み子が！」と云った。




とてもショックだった。




だから私は人前で能力を使う事をやめた。


親のあの顔を思い出したくなくて。






私の所為であんな顔を、感情を持ったのだと云う事を認めたくなくて。




こんな力欲しくないと思った。







全てを異能の所為にした。







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小学４年生の時、母親も帰って来なくなった。




すると、家に次々人が来て、私の両親について聞き始めた。



私は、洗いざらい全てを話した。




脳がぐちゃぐちゃになったみたいだった。



それからすぐ後、目つきの悪いおじさんが来て、



「荷物を纏めて、此方においで」と云ってきた。


車に乗って、降りると其処には小さな家があった。




おじさんは笑い、「君の家は今日から此処や」と頭を撫でてくれた。




其の手は、凄く大きくて、暖かかった。



産まれてから一度も感じたことの無い、人の体温だった。



何故か涙が出た。




涙は溢れて止まらなかった。




おじさんはその後名刺を出した。





其処には、「種田山頭火」と書いてあった。




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