【あんスタ】夜行少女【逆先夏目】 (ページ14)

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少女の夢( 1 ) ページ14

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おちる、おちる、おちる。

意識が落ちる、身体が落ちる。なにかがおちる。ゆっくりと穏やかに、それこそ羽のような軽さで。

私は落ちる時、身体を動かせない。

もがく事も出来ないけれど下手に暴れて痛い思いをすることも無い。身を任せていれば痛みを伴う事なんて無いのだから、心地よい穏やかさに身体を預ける事にする。

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身体が動かせる様になる頃には、私の身体も柔らかいベッドの上。

周りの景色はぼんやりとしていてよく見えない。一瞬、光が一筋差したような気がしたので手を伸ばすけれど、それはすぐに消えてしまった。…まぁ、周りの景色や光なんて今はどうでもいい。

そんな事よりこのベッドの柔らかさだ。身体は此処で眠りたいと話しているのに眠らないのは酷というもの。

今日は何時もとは違う、変わった事があったから身体も少なからず疲れていた筈で。
そのお陰か消えていた疲労感はいまになってどっと私の身体を包み込んでくる。…嫌だ、身体がだるい、重い。寧ろ普段よりも重く感じる。

今まで軽かったのに、これが魔法の対価だというの？そんなのいやだ。魔法はもっと、ふわふわきらきらしたものだと思っていたのに。

私に魔法を掛けた張本人である赤い髪の彼を少しだけ恨めしげにぼんやりと思い出した。

…なんて、彼を恨む様に考えても意味は無い。今彼はいないし、この身体のだるさも重さも消えたりはしない。

なんとか、少しでも早くこのいやな感覚を癒やしたかったので睡魔の誘いに甘える事にした。……人は自分に甘くなってしまいがちと言うだろう。そういうことだよ、と自分に言い聞かせては心地よさに身を任せる様に瞼を閉じる。

瞼を閉じる一瞬。

人の影が見えた気がしたがそんな事を特に気にすることもない。ふと、誰かに撫でられている様な心地良さを感じるのだから、意識はとろりと溶けていく。

すると驚くことに、撫でられた場所から疲労感が消えていくではないか。

これはいい。

疲労を撫でただけで取り捨ていく掌にもっと、もっと。と強請るように擦り寄ってみた。

そんな間抜けな私を誰かが見たのか、

何処からか笑みを零す音が聞こえた気がした。