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1章 魔法使い( 10 ) ページ12

すると、思いもよらない提案を彼からされる事になる。


「そうダ、野良猫ちゃんさえ良けれバ、ボクと連絡先を交換しなイ?」


「連絡先?うん、いいよ。私あんまりSNSとか使わないけどそれでもいいなら。」


「構わないヨ、ボクも仕事か連絡手段でしかSNSは使わないかラ。けど野良猫ちゃんは仕事相手ではないから完全に私用でのやり取りになるネ。」



そんな事を言われたら、言われたら…どんな顔をすればいいのだろう。…喜べば良いのだろうか。

よく分からなかったので取り敢えず笑顔を浮かべたままQRコードを見せて友達に追加。これで私と夏目くんは形だけでもお友達になったみたい。


「ええと…これでお友達、かな。連絡先までくれてありがとう、夏目くん。暇な時にでも連絡してみるね。」


「ボクも何か面白い事があったら野良猫ちゃんに教えてあげるヨ。…野良猫ちゃんは何時も暇そうだけド。」


「…いっ、何時でも暇って訳じゃないよ。ただ暇な時間が多いだけで、」


「アハハ、やっぱり暇なんだネ♪」


「……あっ、違う違う!!ひま、じゃない!」


揶揄うようにくすくすと笑われては本当に怒る気さえ失せてしまう…いや、元々怒ったりなんかしていないが。流石にそこまで沸点は低くない。

でも一応、必死の弁明も付けておく。私は好きで暇な訳じゃないのだ。いや、割と暇な時間はない気がするけれど、独学で勉強もしているし。



「本当に暇ではないからね?ただ暇な日と忙しい日の差が激しいだけ。…暇人な時の私に色んなお話を聞かせてほしいな。」



「スマホ越しじゃ野良猫ちゃんが暇かどうかはあんまり分からないけド……なるべく野良猫ちゃんの暇そうな時を見計らって連絡するヨ。」




そう言って、彼はベンチから立ち上がる。とうとう帰るみたいだ。誰かと一緒にこの街で居たのは久しぶりだったので少し離れ難い気もするが、そこはそれ。



どうせすぐにこんな寂しさも忘れて普段の私に戻るのだから別にいいやと知らんぷり。



最後の別れの挨拶を彼と交わすことにした。


「何回も言っちゃうけど本当に楽しかったよ、夏目くん。たくさんお話に付き合ってくれてありがとう。」


「…此方こそ、ボクの魔法に掛けられてくれてありがとウ、野良猫ちゃん。…またいつカ、近い未来に運命が巡り合った時また会おうネ、Aちゃん♪」


楽しげにそう言い残した彼は夜の街から姿を去っていった。去り行く姿を手を振って見送る。


私もそろそろ帰るとしよう。

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エンドロール - すごくこの作品好きです!描写も細かいし何より読みやすくて面白い!これからも頑張ってください、応援してます。 (2020年1月18日 13時) (レス) id: feeead544b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ドロップ | 作成日時:2020年1月15日 9時

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