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1章 魔法使い( 9 ) ページ11

「そう言う野良猫ちゃんこソ、どうして深夜なのに街中にいるノ?野良猫ちゃんだって女の子なんだかラ、夜はちゃんと寝ないとお肌に悪いんじゃなイ?」


ふと、夏目くんにそう聞かれてはどきり、とする。まさか昼間起きていられなくて夜しか動けないんです、なんて言える訳が。…いや、魔法使いを名乗る夏目くんなら分かってくれるかもしれないが、なんだか言葉にする事が出来なかった。


「……ええと、野良猫ちゃんは自由気ままだから。好きな時間にこうしてぶらぶら出歩いてるの。」



…ので適当な嘘を吐いてみたけど、夏目くんにはバレてしまうかもしれない。



「…ふぅン?そうなんダ。…デモ、あんまり夜更ししちゃ駄目だヨ。」



「うん、心配してくれてありがとう、夏目くん。…出会ったばかりなのに、本当によく私を心配してくれるよね、なんで?」



少し疑問だったので彼に聞いてみる。


確かに私と夏目くんは初対面の筈なのに、夏目くんは私をよく気に掛けてくれた。それが少し不思議だったのだ。



「ン〜…なんデ、………ボクの気紛れかナ♪」



「き、気紛れ、なんだね……で、でもさ、気紛れでもこうしてお話できて私は楽しかったよ。」


「フフ、ボクも野良猫ちゃんと過ごした時間は楽しかったヨ。」


気紛れ、と聞くと思わず己の口から苦笑いが零れてしまった。まあそんな所だろうとは何となく感じていたけど。


それでも楽しかったというのも本心で。彼の口からも同じ言葉を聞けて嬉しかった。


逆に言えばそれこそ、アイドル活動をしている彼をこんな時間まで付き合わせてしまった事の方が申し訳無さでいっぱいだ。



「……あ、夏目くん、ごめんね。夏目くんはアイドルもしているのに、こんな時間まで付き合わせちゃって。そろそろお家帰った方がいいよ、明日に響いちゃうかも。」



「…そうだネ、まさか此処でここまで時間を使うとは思っていなかったかラ。でも、野良猫ちゃんの所為じゃないヨ。野良猫ちゃんに魔法を掛けてあげるって声を掛けたのはボクの方だかラ、野良猫ちゃんが気に病む事じゃなイ。」



「………そう?でも、本当にありがとう、夏目くん。」


心からのお礼の言葉を目の前の彼に。
ちゃんとにっこりできているか分からないが、精一杯の笑顔を彼へと向けた。

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エンドロール - すごくこの作品好きです!描写も細かいし何より読みやすくて面白い!これからも頑張ってください、応援してます。 (2020年1月18日 13時) (レス) id: feeead544b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ドロップ | 作成日時:2020年1月15日 9時

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