風船葛

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連絡先を交換してから、国崎さんは毎日【今日あったちょっとおもしろいこと】を頼んでもいないのに報告してくるようになった。


「猫にお弁当たべられた」とか「相方が角刈りになった」とか。
伊藤さんが角刈りになったことに関しては、桃花からの鬼電により解禁直後に知ることになったのだけれど。



なんだかんだ、彼からの連絡が毎日の楽しみになっていた。
上司に叱られた日も、お客さんから思いもしない罵声を浴びせられて落ち込んだ日も、彼からの連絡を見ると笑顔になって、気分が落ち着いた。



それでも接客業とは酷なもので対応が終わったあと泣いちゃうほど、酷かった日もあるわけで。



そんな日の彼からのいつもの連絡は一段と胸にきて、なんだかお礼を言いたくなって、思わず電話をかけた。



「…もしもし？」



通話ボタンを押した直後、仕事中だったらどうしようと一瞬過ぎったが、そんな考えも意味ないくらいすぐ、1コール目で彼は出た。



「……もしもし。」



「どしたぁ？電話なんて珍しいやん」
「、、なんでもないです」
「なんでもないって何よ
なんでもなくてもかけてくれる関係になったってこと？」

そう、おちゃらけた彼の言葉すら今日は優しく感じる。



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