10.傷つけた ページ10
結局、私の着替えがなかったのは短刀ちゃんたちのイタズラだった。私が泣いていたので、みんなすごく申し訳なさそうに謝った。
粟田口の兄にあたる一期はもちろん、ずおくんやばみちゃんまで一緒に謝りに来たくらいだ。
短刀、脇差ちゃんたちが寝てしまってから、いつものように太刀の皆と私が淹れたお茶を飲んでいた。
でも、いつもは一番この時間を楽しみにしていて、私の向かいでにこにこと笑顔を浮かべている彼の姿はなかった。
お茶を飲みながら大包平さんのことを話しだしたら止まらない鶯。
そんな彼がいないことで、この場はとても静かだった。
一期「主、気にすることはありませんよ…。」
江雪「事情は聞きましたが、また茶が飲みたくなればでてきますよ。大丈夫ですよ。」
鶴丸「そうだそうだ。今は放っておけ。」
彼のために何度も冷めたお茶を入れ替えて待っていたが、結局おひらきになっても姿を見せることはなかった。
A「………私のせいです…。私が…しっかりした審神者じゃないから……。だから、鶯を傷つけた……。」
建水に彼の分のお茶を捨てる。
もう何度目かな。
私が悪いんだ
私がもっと強くてありのままの皆を受け入れられる審神者だったら………
私は………審神者には到底向いていない。
A「＿＿っ！」
そう思うと、目元に熱がこもってまた涙がこぼれそうになった。
A「……か、顔を洗ってまいります…っ」
涙を皆に気付かれないように袖で隠し、私は茶の間をでた。
鶴丸「…ありゃりゃ。とても見ていられないな。」
一期「主、また泣いて…！あぁもう可哀想やら心配やらで気が気ではありません…！あんなに泣き腫らして目が真っ赤ではありませんか…！鶯丸殿には一言言ってやらねば…！」
鶴丸「……まぁ、そうだよなぁ。あいつのせいで主が泣いてるのは気にいらねぇよなぁ。」
一期「鶴丸殿！行きますよ！」
鶴丸「仕方ない…。ま、献上太刀のよしみで付き合ってやるか。」
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