31.優しさ ページ31
A「___大丈夫ですよ。私はどこにも行きません。」
手に持っていた短冊をすっと取られ、代わりに温かい手に両手を包み込まれる。
膝を抱えて俯いていたが、その感触に顔をあげると、目の前で大好きな主がにこりと笑った。
白無垢を見に纏い、とても美しい。
鶯丸「………」
驚いて声がでない。
A「鶯のこと一人ぼっちにはしないから。ね…?」
優しい声に涙が出そうになった。
鶯丸「……なぜ怒らない?刀剣男士としてそのような願い……望んではいけないことだ。戦いが続いて欲しいと言っているのと同じだろう。」
A「なぜ怒らなければならないの?」
鶯丸「……え?」
A「__なぜ?私は鶯がそう思ってくれていたなんて、素直に嬉しいわ。」
悪気のない笑顔。
何でこのひとは__
鶯丸「__怒ればいいのに…いっそ、俺のこと戦いに使うためだけの道具だと思ってくれれば楽なのに……。何で…何でそんなに優しいんだ……」
A「……鶯…。」
やめてくれ…
そんな困った顔しないで
主を困らせたくはないんだ…
鶯丸「……すまない。___それ、婚礼用のだろう?とても美しい…。よく似合っている。」
だから…
そう言って主に微笑みかけた。
嘘じゃない。本当に本当に美しかった。
A「……はい…。……ありがとう…ございます…。」
鶯丸「そんな浮かない顔をするな。君は笑っていた方が可愛いからな。」
A「……はい…。」
主は俯いて答えた。
角隠しで顔が隠れ、その表情は伺えなかった。
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