CHERRY. *sho sakurai* (ページ4)

今日:1 hit、昨日:4 hit、合計:333,690 hit

4.先生の日常ページ4

昨日の出来事がウソみたいないつもと変わらない朝。

車のエンジンをかけると昨日ナオから借りた嵐のCDをステレオに差し込む。

冬の澄んだ空。

今日もいい天気。

外でいっぱい遊べるな。

スピーカーから流れる5人の歌声に、昨日の興奮が蘇ってトクントクンと少し早くなる鼓動と爽やかな歌声と一緒に車を走らせた。

・

・

可愛らしいキリンの門をくぐり、職員室に入る。

A「おはようございまーす。」

「あ、A先生、おはようございます！見ーまーしーたーよぉ？昨日、バッチリ映ってたじゃないですか！」

後輩のモモコ先生が大きな瞳を三日月にしてニコニコ近づいて来た。

A「モ、モモチャンっ…！」

わたしはあんまりモモコ先生の声が大きいから唇に人差し指を当てて、モモコ先生の肩を掴んだまま給湯室に連れ込んだ。

A「ねぇ、これ、園長先生にみつかったらヤバくない？」

モモコ「えー？大丈夫じゃないですかぁ？幼稚園の先生だって土日はプライベートなんですよぉ？悪いコトした訳じゃないし。」

モモチャンは口を尖らせるけど。

そりゃ、キミはね？

若くて可愛らしいモモコ先生はいいよ…。

でも、30にもなった教諭主任じゃ、イタイんじゃないかなぁ。

父兄に突っ込まれたらなんて答えよう…。

あんなテレビに映る席だと思わなかったし。

モモコ「それよりぃ、先輩すっごいいい席だったじゃないですかぁ！嵐ってカッコよかったですか？」

モモチャンは若くて可愛いけど、わりと現実派でアイドルにきゃあきゃあ言うタイプではない。

今は彼氏とメルヘンな日々を送っている。

A「やっぱり、本物はカッコイイよ。」

と、わたしが言うと、

モモコ「目の保養ですよねぇ。」

と、顔の前で手を組んでうっとりと言った。

A「モモチャン、アイドルに興味ないよね。」

モモコ「アイドルに興味ないけどイケメンには興味深々です！」

真面目な顔で断言するモモチャンに

A「あ、そうですか…。」

と、一言いって給湯室を出た。

園長「A先生。」

A「はい。」

給湯室を出たところで園長に呼び止められた。

園長「金曜日の連合会議、大丈夫かな？」

近くの幼稚園の園長達が集まる会議。

年末ということもあり会議の後は忘年会も兼ねて食事会になる。

それが毎年面倒くさいんだけど、

A「ハイ。大丈夫です。」

ため息を飲み込んで返事をした。