CHERRY. *sho sakurai* (ページ2)

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2.助け舟ページ2

頷いた女性スタッフが何処かへ行って戻って来ると、翔クンを通り越してわたしの足元に来た。

スタッフ「これ、使って下さい。」

そのスタッフさんの手にはクリップやテープや輪ゴムが乗っていた。

A「あ、ありがとうございます。」

その中からわたしは輪ゴムを数本貰って壊れたストラップに掛けた。

翔クンにもお礼を言いたかったけど、正面を向いていたから…。

でも、きっと翔クンはテレビのコトを考えてしてくれたことなんだよね。

嵐の近くなんて何度もカメラが向けられるだろうし、そんなところにストラップがブラブラした靴が映ってたら画的に良くないもん。

目の前の嵐の後ろ姿に感激しているナオは翔クンとのやりとりに気づいてないみたいだった。

翔クンファンのナオになんとなく言えないまま、嵐の出番が来て5人のカッコイイステージが始まった。

今まであまり見たことなかったけど、

わたしは彼らが歌っている間、翔クンから目を離せないでいた。

・

・

番組が終わって出口に向かうと
さっきの女性スタッフが観覧の人達を、お見送りしていた。

A「あの、さっきはありがとうございました…。」

スタッフ「あ、いいえ。大丈夫でしたか？」

A「はい。あの…輪ゴム…。」

一応、輪ゴムのことに触れると

スタッフ「あ、付けて帰っていただいて大丈夫です。」

と、にっこり笑ってくれた。

A「ありがとうございます。あの…、」

スタッフ「はい？」

翔クンにもお礼を伝えて欲しい…。

A「あ、いえ。」

と、思ったけど

やめた。

厄介なファンだと思われるのもイヤだし、

何より翔クンはわたしの為にしたんじゃない。

テレビのコトを考えてしたことだし。

それを喜んで翔クンにもお礼を伝えてくれなんて自意識過剰もいいとこだもん。

・

ナオ「あんないい席だと思わなかったね～。かっこよかったでしょ？嵐。」

帰りの電車の中で自慢するように言うナオに

なにいってんの(笑)

っていつもなら笑うところだけど。

A「うん…。カッコよかった。」

って素直に頷いてしまった。

ナオ「え？もしかしてAも嵐にハマった？ちょうどあたしCD持ってる！ハイ。貸してあげる。今度DVD持ってくるよ！」

A「えへへ。」

って笑って答えたけど、

くるりとあたしを見た翔クンの瞳が

歌っている時のあの笑顔が、指先が

忘れられなくて

もう一度みたいと思ってしまったんだ…。