人魚の瓶詰め-1 ページ1
待ち合わせの場所を間違えたのか、見覚えのないお店。ファンシーショップって看板はあるけども、どう見てもファンシーじゃない。待ち合わせの時間まで余裕はあるし、冷やかし程度に覗いてみることにした。
「いらっしゃあい。何かお探しで?」
「あ、いや……ちょっと気になったので」
「ほぅほぅ。ごゆっくりどぉぞぉ」
年齢不詳の店員。ほこりを被った不気味な置物。アンティークのような何かのなかに、不自然に動く瓶詰めがあった。
「こちら、不見海Aの瓶詰めになります。一ヶ月ほど売れ残っているんですよ。浜辺を再現した小さなジオラマになっているので、インテリアとしてお部屋に飾っていただくのもおすすめです」
胡散臭い笑みに、はぁ、と間の抜けた返事をする。瓶の高さも10センチくらい。蓋はジャムみたいなチェック柄で、開かないように青いリボンが巻いてあった。
僕がその分厚いガラスで出来た瓶を手に取ると、瓶の中の不見海Aは怯えて泣き出した。
「で、購入したと」
「なんか、このまま別れたら可哀想で……」
待ち合わせにまで連れてきてしまった。さっきまで泣いてたから、目元も鼻も真っ赤にしてすんすん言ってる。
「こいつ、クッキー食べるかな」
「ちょっ」
リボンをはずし、蓋を回すとあっさり開いてしまい、びっくりしてまた泣き出してしまった。
「ほら、クッキーだよー」
半分に割ったクッキーを差し出してみる。受け取っても重たいのかすぐに落としてしまい、座って抱えてしまった。食べてみせたらいいのかな?と思って囓って見せると、意を決したように齧り付く。
「!」
柔らかいクッキーだから、食べやすいのかも。初めて食べたのか気に入ったのか、さっきからクッキーに夢中で齧り付いている。
家に連れてきたら、キョロキョロしていた。瓶から出してもいいけど、恐がりみたいだから出てこないかもしれない。
「いい?ここが僕の家。きみも今日からここに住むの」
首を傾げているけど、ゆっくり分かってくれればいいや。
「僕」と言ってますが、誰とは固定してないのでご自由に妄想してください。
44人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
椿(プロフ) - 紅鴇ベニトキ@pc垢さん» (´・ω・`)ドンマイです (2018年7月18日 22時) (レス) id: 5ec82ca698 (このIDを非表示/違反報告)
紅鴇ベニトキ@pc垢 - パスワード忘れたんで、更新できなくなりました。 (2018年3月31日 2時) (レス) id: a79284f49c (このIDを非表示/違反報告)
紅鴇ベニトキ@pc垢 - 、さん» ご指摘ありがとうございます。オリジナルフラグはずしました。 (2018年1月13日 17時) (レス) id: a79284f49c (このIDを非表示/違反報告)
、 - 実在する人物やキャラを扱う二次創作になりますのでオリジナルフラグお外し下さい (2018年1月13日 17時) (レス) id: dc2a82781f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ