幼馴染 ページ7
「相変わらず、選手に気に入られてるんだね」
「気に入られてるなんて、そんな」
能見さんと対談中。
「Aちゃんは結婚とか…考えてない？」
「どうでしょう、いずれは…とは考えていますけど」
「由伸と一緒だっけ、歳は」
「はい、」
「若いなぁ、」
それからはたわいもない話をして、VIP室を出ていった能見さん。
「やっぱ、大人だなぁ…」
「蒼井さん、リハビリです」
「あ、今行きます」
通常患者のリハビリ室。
「よ、久々」
「え、…樹？」
そこには照れくさそうに笑いながら足を押さえる幼なじみの樹(ｲﾂｷ)がいた。
「どうして…？」
「ちょっと足痛くてさ、だからリハビリよろしく」
「あ、…うん、」
「足、捻挫って書いてるけど、なんで？」
「言ってなかったっけ、俺、球団トレーナー」
「えっ！？球団って野球？」
「まあな」
驚いた。樹とは幼稚園から高校まで同じ学校に通い、大学からは離れてしまった。たまに連絡する仲ではあるが、それも半年に一回ぐらい。
「どこの球団だと思う？」
「阪神…？」
「正解！」
「ほんっとにすごいね、幼馴染がこんなになってるなんて」
「Aだってプロアスリートの体ケアしてるんでしょ？すごいじゃん」
「まあね？」
それからは阪神の選手の中で私のことが度々話題になることを教えてもらったり学生時代の話をした。
「はい、終了！じゃあ、またね」
「おう、頑張ってな」
「それはお互い様ね」
VIP室の扉の前で病院から出ていく高校時代より何倍も逞しくなった樹の姿を見送った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 104人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：renren | 作成日時：2023年2月2日 18時
