勘違い ページ12
「ねぇ！また樹くんとしゃべれた！」
「あー、そう」
冷たいよー、と言われたけどこっちはこっちで由伸が好きだと気づいてしまって次いつ来るのかとずっとソワソワしているのだ。
「蒼井さん、山��さんです」
まさかの山違い。
「は、はい」
「A、マッサージお願いー」
「さちさーん…」
「どうしたん？俺のAちゃーん…」
さちさんの溺愛ぶり。お兄ちゃんみたい。
「言いたいところなんですけど、いつものところでお待ちください！」
「はーい」
カルテを取りに行くついでに受付にさちさんのカルテを取りに行く。その時に待合室で見えたのは樹だった。
「樹、今日だっけ…」
前入れた予約は明後日だったはず。じゃあ今日は診察だけかなと思ったら…。
「蒼井さん、高山さんの事情を中村さんに」
「私が樹に？は、はい…」
まさかのトレーナーとしての来院。心の中でさちさんにちょっと待ってくださいと一言断り、樹の所へ行く。
「…今日はあそこの部屋でお願い」
私が言ったのはVIP室。さちさんが待っているけど許してもらおう。高山さんのことだし、さちさんは高校と大学一緒だったよね。
「え、どちら様ですか？」
さちさんの声が聞こえる。ごめんなさい、さちさん、と２回目の心の中で謝罪を入れた。
高山さんのカルテを受付の人から受け取っていよいよ若干の言い合いが始まっているVIP室へ。
「ごめんなさい！さちさん！」
「さち…え、山��福也！？さん？」
「もー、、Aしっかり説明してから行ってよ…」
「謝りましたよ、2回も」
「え？」
「心の中で」
おいっ、と軽く私の肩をポンッと叩くさちさん。そして私は本来の役割を思い出した。
「樹、高山さんの事なんだけど、アキレス腱断裂、足を極力動かさないトレーニングに切り替えて欲しい、高山さんのメンタルケアは私もするから、」
「あ、了解」
「まあそういうことだからよろしく、じゃあ明後日」
そして受付に向かって歩く樹の背中を眺めていると
「A、恋してるね」
「え？」
勘違いされました。
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作者名：renren | 作成日時：2023年2月2日 18時
