女神獣様の災難�� ページ17
『あれ…寝ちゃってた…』
「起きましたか？」
ぼんやりと呟いて、目を擦っているAに鬼灯は声をかける。
『うん…ごめんね、桃タローく……』
そう言いかけて、彼女は今聞こえてきた声が自分の弟子じゃないことに気がついてハッとした。
『(違う。桃タロー君じゃない…！！)』
恐る恐る隣を見ると、若干不機嫌そうな顔をした鬼神様がすぐ横に座っていた。
「貴女、人を枕代わりにしておいて間違えるなんて、いい度胸してますね」
『なんっ…！？なんでお前がっ…！！』
「寄りかかって来たのは貴女ですよ」
一気に酔いが覚めた気がして、Aは慌てて後ずさって叫んだ。
恥ずかしくて、酔っ払っている時とは別で、じわじわと顔が赤くなる。
『(ボクが！？コイツに！？)』
「そもそも、お酒の瓶片手に絡んで来たのも貴女からですし」
『嘘でしょ！？』と思ったけれど、そういえばそんな記憶があるような無いような…
と考えて、Aは頭を振った。
『帰るっ！！』
「え！？ちょ、ちょっとA様！？」
そう言って立ち上がって入口の方に歩き出した彼女を、桃太郎は慌てて追いかけた。
「あ、お会計お願いしますっ」
勿論、ちゃんとお会計は忘れずに。
最悪だ…
よりによって、アイツの肩借りて寝るなんてっ…
お店から出てしばらく進んでからAは立ち止まると、後ろを追いかけて来た桃太郎を振り返った。
『桃タロー君、なんで起こしてくれなかったのさっ！！』
「いや、起こそうとはしたんすけど…」
鬼灯さんに、そのままでいいって言われて…
『あー！もうっ…』
頭を抱えている彼女を見て、
「(鬼灯さんが、A様の寝顔の写真撮ってたのは黙っておこう…)」と桃太郎は思った。
実はさっき、寝ているAを鬼灯が撮影していたのである。
知らぬが仏、だ。
『忘れて？ボクも忘れるから』
「え…ええっと、ハイ…」
キッパリそう言った彼女に思わず頷く。
忘れてと言われても、なかなか難しいけれど。
『うぅ…頭痛くなってきた…気持ち悪いし…』
……それは飲み過ぎだからでは？と思ったけれど、空気を読んで何も言わずに、「やっぱり黄連湯作ってあげよう…」と呟いた桃太郎だった。
一方、飲み屋内では──
「大王、」
「うん？」
「たまには飲み会も良いですね」
「……えぇっ！？」
ポツリと呟いた鬼灯に閻魔大王も驚いて、
「(鬼灯君がそんなこと言うなんて…さっきの、よっぽど嬉しかったんだなぁ…)」なんて思ったのだった。
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めぐりずむ(プロフ) - コメントありがとうございます！励みになります…(๑•̀ㅂ•́)و✧お恥ずかしいとのことで削除依頼されていたので、消させて頂きましたが、すごく嬉しかったです！ (2022年9月17日 1時) (
レス) id: ef3bd6ce41 (このIDを非表示/違反報告)
琉流 - とても面白いです｡ (2021年11月7日 0時) (レス) id: 45a1f0a151 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めぐりずむ | 作成日時：2021年9月23日 23時
