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薫「Aーいるー?」
『何ー』
昼休み。ガヤガヤと煩い教室で友達と一緒に弁当を食べていると、先輩である薫が私の方へ歩み寄ってきた。
上級生が教室に入ってきたことによって周りの視線が突き刺さる。ふいと顔を反らし、薫を見た。
薫「お前昨日本屋行ったんだろ?宝石の国の新刊貸して!」
この男、幻覚薫は1つ上の高校三年生。こいつとは好きな本のジャンルが同じで、とても気が合う先輩(笑)だ。いわずもがな、こいつも陰キャである。だがしかし、そこそこのルックスの良さから一部の女子から密かに好意を抱かれることが多い。
____唯一、私が心を許し、愛想笑いを浮かべない人物だった。
『いいよ。明日持ってくる』
薫「さんきゅ!」
『てかLINEで言えばよかったのに』
薫「いや、最近顔見てなかったから」
『きもいきもい』
薫「ひでぇ」
その後しばらく軽口を叩きあい、満足したのか薫は帰っていった。
「仲いいよね」
「付き合っちゃえばいいのに!」
そう言いながら弁当を食べる友達。
友達以上恋人未満の曖昧な関係が心地よいというのに、一体こいつらは何をほざいているのだろう。私は薫に恋愛感情など抱いていない。
『ただの友達だから』
そう言ってのらりくらりと追及を回避する。
お茶を一口飲み、弁当を片付けた。
・
『んー………』
眠い。
可笑しいな、今日は授業中3時間は寝たはずなのに。
いいや、帰ったら寝よう。
賑やかな商店街を通り抜ける。
『……………』
スーパーや八百屋に並ぶ食材を見て顔をしかめた。
両親が死んでから、私はまともにご飯を食べていない。
私が食事をとるのは、昼だけ。
1人で食べるご飯は、不味くて不味くて。無味無臭のゴムを噛んでいるような気分になって、どうしようもなく吐き気がするのだ。
下を向くと、私の目は広い地面を映した。
…そういえば。
真っ黒のコンクリートを見て思い出す。
…昨日のあの人はどうしただろう。ちゃんと病院に行っただろうか。
それはないか。あれだけ嫌がっていたし。
まぁ関係ないが。
そして、昨日あの人が倒れていた路地裏に足を踏み入れる。
「あ、来た来た。」
『え……』
なんでいるの。
「昨日はどうも。おかげで助かりやした」
そこには、昨日倒れていた男が立っていた。
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ANA - 推しが!!!尊い!!////更新楽しみにしてます!頑張ってください!O(≧∇≦)O (2019年8月20日 17時) (レス) id: ed74a5df95 (このIDを非表示/違反報告)
零 - とても素敵ですね!!クロノさんと治崎さんの優しさが目にしみます。ゼロさんのお話、とても面白いので、お忙しいとは思いますが、良かったら、更新お願いします。続きを読める事を楽しみにして待ってます。 (2019年4月29日 9時) (レス) id: 2fa8d71e18 (このIDを非表示/違反報告)
ねじる - ゼロさん» 今更ですが、私もクロノ好きですよ!あ、トウヤ君も!同率1位で好き、、、 (2018年11月18日 20時) (レス) id: b17a466711 (このIDを非表示/違反報告)
泡沫 - おおおおお推しが!推しがああああああああああああああ!!!なんて面白い小説なんだ…更新頑張ってください! (2018年10月10日 7時) (レス) id: c7686fef14 (このIDを非表示/違反報告)
クロ - オーバーホールが大好きで!!!!ほんとうにありがとうございますorz!!! (2018年9月29日 18時) (レス) id: b2c40a5e33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゼロ | 作成日時:2018年4月10日 21時