【ヒロアカ】平凡な女子高生、ヤクザ始めました

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『はい買ってきた』


買ってきた包帯やら消毒液やらが入ったビニール袋をドサリと地面に置き、いそいそと開封していく。


「……頼んでない」


止血で終わるとでも思っていたのか、ポツリと呟いたその人。


『頼まれてない』


適当に返事を返した。


『じゃコート脱いでください』


「…」


『信用してないですか？医学の知識なら多少ありますが』


まぁ授業で習った範囲だけど。


引かない私に観念したのか、コートを脱ぐ。


黙々と処置を施す私を、その人はじっと見ていた。


「大した傷じゃないです」


『いや明らかに切り傷じゃないのもあるんだけど。その右手に握った物見してくださいよ』


ピンと弾かれた、……２個の銃弾。


「アンタわかってて私を助けてんですか」


『はい』


「バカですかい？」


『……ｸﾞｯ』


消毒液を染み込ませたガーゼを少し強めに押し込む。


「いっっ！！怪我人ですよ私は、、っ」


『バカじゃないですー大体こんな大怪我負ってんのに救急車も呼ばないで座り込んでるほうがバカですー』


言ってるうちに、この人ほんとにバカだなと思えてきて、うっすら笑みを浮かべる。


隣からフッと息を吐く気配がして、もしかしたらこの人も今笑ったのだろうかと思った。


マスクをつけているからわからないのだ。


「高校生のわりに随分手際がいいですねアンタ。ヒーロー志望ですかい？」


『……違う。ヒーローは好きじゃない』


「それはまたどうして？」


『中学の時、敵の事件に巻き込まれた私の両親と幼なじみが、新人ヒーローのミスのせいで死んだから』


パチッと金具で最後の包帯を留める。


『終わりましたよ』


「、


迷惑ついでにもう１ついいですかい？」


『何でしょう』


「今から言う番号のところに電話かけてくだせぇ。そしたら私が出ますんで」


『わかりました』


____、


ﾌﾟﾙﾙﾙ、ﾌﾟﾙﾙﾙ、ﾌﾟﾙ


「もしもし窃野か。車出してください。…あぁ、場所は…………えぇ、じゃあよろしくお願いしやす」


携帯を返してもらい、私は立ち上がった。


この人の仲間が来る前にさっさと立ち去ろうと思った。


『じゃお大事に。私は帰ります。余った消毒液とかはそこ置いてきますね、いらないんで』


「…ありがとうございやした」


『いいえ。』


ローファーを鳴らしながら路地裏を後にした。


これで私の通学路で死体が見つかった、なんてニュースが流れずに済みそうだ。


それにしても変な格好した人だった。


ペストマスク？っていうんだろうか。


まぁいいや。どうせもう会うことなんてないんだから。

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