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オーバーホールさんとクロノさんが何やら私のことについて話している間、私は女の子との会話を試みた。
『あー…えっと、私の名前はA。
君の名前、何て言うの?』
先程猛烈な拒絶を受けたため消極的な喋り方になってしまう。
そもそも子供とのコミュニケーションほど難しいものはないというのに…
そんなことを思っていると、女の子がゆっくりとその小さな口を開いた。
エリ「……っ…エリ…………」
『!
エリちゃんっていうのか。よろしくね』
怖がらせないように、傷つけないように、そっと彼女の頭を撫でる。エリちゃんは私が手を伸ばした瞬間ビクッと肩を震わせたが、敵意がないことに気づいたのか、体の震えは止まっていた。
『よ〜しよし、大丈夫だよ〜。怖くないよ〜』
まだ恐怖を拭い去れないようだが、さっきと比べれば随分落ち着いてきた。純粋に嬉しさを感じる。
『エリちゃん髪の毛綺麗だねぇ。結んだりしないの?』
なるべく優しい口調を心がけ、私はそう聞いた。
エリ「髪の毛……ううん、結ばな、い」
『…じゃあ今度、私がヘアアレンジしてあげるよ』
エリ「ヘア、アレ……?」
ん"ん"っ、可愛い。
『髪の毛を結んだりするのを言うんだよ〜
こうやって…』
私は適当にエリちゃんの髪の毛を分け、ツインテールにする。
『か、かわいい……』
明日にでもゴムとピンを大量に買ってこよう。そうしよう。
オバホ「A」
クロノさんとの話が終わったのか、オーバーホールさんが話しかけてきた。
『はい』
オバホ「クロノから話は聞いた。学校についてだが、今まで通り普通に通ってもらって構わない。だが、向こうの組を制圧するまで送り迎えを寄越す。それでいいな?」
『はい。…私のせいでご迷惑をおかけして、本当に、申し訳ありません…』
オバホ「気にするな。元より友好的な関係じゃなかった。それよりその荷物を部屋に置いてこい。クロノ、Aに仕事は教えたか」
クロノ「いえ、これからです」
オバホ「そうか。それと、この書類を片付けておけ。明日までだ」
クロノ「へい。じゃ、行きやすよA」
『はい。じゃあねエリちゃん』
ベッドから立ち上がろうとすると、きゅっと制服の袖を掴まれた。
エリ「…おねえ、ちゃん。
いかないで……」
ぐぶぉおおお!!!
『死穢八齊會にこんな可愛い子がいるなんて聞いてない…』
ぐいっ
『いいっ!耳もげる痛い痛い』
クロノ「アンタが動かないからです」
私は決めた。あの子のためなら何でもしよう。あの子のために生きよう、と。
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ANA - 推しが!!!尊い!!////更新楽しみにしてます!頑張ってください!O(≧∇≦)O (2019年8月20日 17時) (レス) id: ed74a5df95 (このIDを非表示/違反報告)
零 - とても素敵ですね!!クロノさんと治崎さんの優しさが目にしみます。ゼロさんのお話、とても面白いので、お忙しいとは思いますが、良かったら、更新お願いします。続きを読める事を楽しみにして待ってます。 (2019年4月29日 9時) (レス) id: 2fa8d71e18 (このIDを非表示/違反報告)
ねじる - ゼロさん» 今更ですが、私もクロノ好きですよ!あ、トウヤ君も!同率1位で好き、、、 (2018年11月18日 20時) (レス) id: b17a466711 (このIDを非表示/違反報告)
泡沫 - おおおおお推しが!推しがああああああああああああああ!!!なんて面白い小説なんだ…更新頑張ってください! (2018年10月10日 7時) (レス) id: c7686fef14 (このIDを非表示/違反報告)
クロ - オーバーホールが大好きで!!!!ほんとうにありがとうございますorz!!! (2018年9月29日 18時) (レス) id: b2c40a5e33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゼロ | 作成日時:2018年4月10日 21時