検索窓
今日:9 hit、昨日:7 hit、合計:131,101 hit

ページ3

さて。一次試験から何やかんやと流れで行動を共にしてきた三人だが、三次試験でもやはりチームとして行動することにした。
スピーカーに向けて協力することはよいのか聞いたところ返答もなく、まあこのままでいいだろうと三者三様に頷いたのが数分前のこと。
そも、ハンター試験にあらかじめ定められた禁止事項は存在しない。試験官が「してはいけない」と言わない限り、やってはならないことなどないのだ。

チームを組んで動くことにもメリットがある。
クロロは頭脳労働も肉体労働も卒なくこなせるし、シャルナークは情報分析力で時にはクロロをも上回る。
Aは言わずもがな根っからの実働派で、ここまでの試験を経てクロロ達の頭脳に対する信頼を得ているので、三人の中では一際有力な矛である。

ハンター試験に合格者の上限があったのなら話は違ったろうが、そんな話は一度たりとも耳にしていない。
であれば、今更わざわざ別行動を選択する利点もなく、三人は仲良く並んで迷路をちまちまと攻略しているのであった。


「あ、行き止まり」

「随分と行き止まりに突き当たる間隔が短いな。迷路自体は狭いんだろう」


左手法に則り先を歩いていたAが、進む道のない壁を不機嫌そうに撫ぜた。
迷路の天井は防がれていて、壁を乗り越えるなどの反則行為は勿論、迷路の全容を大まかに望むことすらできないようになっている。
天井が高く圧迫感はないのがせめてもの救いだろうか。

迷路攻略を始めて三十分は経過した。道中、既に十回以上は行き止まりを見ている。
行き止まりに辿り着くまでの道が短いので、クロロの推測は恐らく正しいのだろう。
ホテルの地下に拵えられた迷路が、それほど広大であるはずもない。

スピーカーの声が知らせた「仕掛け」とやらは、今のところ取るに足らない粗末なものしかなかった。
いや、常人であれば十分に障害たり得るものであったのが、この三人だったが故に粗末と認識されてしまったという方が正確である。

例えば電流──これはAの訓練の賜物により、二人を抱えて無傷で通過した。
例えば落とし穴──これは事前に罠の気配を察知していたシャルナークが見事回避した。
例えば古代語で記された意味ありげな案内板──これはクロロが持ち前の知識で解読した。

三次試験の試験官は運が悪かったとしか言いようがない。
事実、後から二次試験をクリアしてきた受験生達は大いに悩み迷っているのだから、やはりこの三人が異常という他ないのである。

4→←2



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (391 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
859人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ハナミズキ - キルアが出てこなかった。。。。。 (4月4日 21時) (レス) @page24 id: 9174215e87 (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - あけましておめでとうございます! (1月10日 17時) (レス) @page24 id: 75972ecbb8 (このIDを非表示/違反報告)
伊波トウナ(プロフ) - 続きはもう無いのですね... (2023年4月19日 12時) (レス) @page24 id: ce08f5279c (このIDを非表示/違反報告)
レイカ(プロフ) - 続きは書かないのでしょうか? (2020年4月13日 2時) (レス) id: 2f295bf970 (このIDを非表示/違反報告)
無題 - そうだったんですか…。残念ですけど、今まで楽しく面白い作品をありがとうございました!!貴方の作品、大大大好きでした。くらげ様の新しい作品、とても楽しみにしています。本当にありがとうございました!! (2019年5月11日 6時) (レス) id: 9aad1e7bf8 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:くらげ | 作成日時:2018年10月13日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。