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その後、待てども他の受験者が新たに呼び出されることはなく、三人きりのまま飛行船の高度は下がり、地上の喧騒の中に戻ってきた。


「合格者はお主らだけか。全く……上に知られたらどうなることか……」


空港到着後、講習会場に現れたネテロは、思い思いの席に座る幼い子ども達三人を矯めつ眇めつ順に眺め、さぞかし嘆かわしいとでも言いたげにため息を吐いた。
言葉に反し、表情は歓喜に満ち溢れたものだが。

試験に関わった者ならばA達の異常性を存分に知り得ている。しかしそうでない者が見たのなら、ハンター試験はどれだけ奇妙な試験を執り行っているのかと首を傾げるだろう。
なにせ、五百人以上の何らかのプロが参加したというのに、こうして合格と認められたのは十代半ばの少年少女のみなのだから。

試験が正当でないのではないか、とか近年論じられている十ヶ条について、またしても白熱の議論が繰り広げられる可能性もあり得る。
そういう面倒を差し引いても、ネテロがさも嬉しそうに微笑むだけの理由はあった。
果たしてこの三人がいかほどに育ってくれるのか。
自ら曲者を副会長に置くだけあって、ネテロの感性は相応に狂っていた。


「さて!ハンター試験は正真正銘これにて終いじゃ。ここにいる三名、これを第二百七十四期ハンター試験合格者と認定する!
同胞かつライバルでもあるお主らの今後の活躍を、ワシは大いに期待しておるぞ」


ぱん、と柏手を一つ。ネテロの激励をもって、長かった試験が終わった。
Aはともかく、三名中二名はハンターに活躍させる側である異常事態はどう見たものか。
とはいえそれを表立ってジョークにすることもできないので、ツッコミ気質のシャルナークがぐっと息を呑んだだけで、つつがなく三人は空港に降りた。


「さて、ここでお別れだね」

「え?ああ、そっか。ばいばい」

「軽っ……もっとこう感慨とか……ああいや、キミにはそんなものないか」

「うん?シャルくん、今なんかばかにした?」

「滅相もございません」


後頭部で手を組みながら、シャルナークがわざとらしい間延びした口調で言った。
青春物語ならここでお涙頂戴の台詞回しの二つ三つはあるものだが、そこはAクオリティ。
さっさと搭乗手続きをしようとしたので、流石のシャルナークも手を掴んで引き止めた。

クロロも早く帰りたいようで、Aに固執するシャルナークを何だか生暖かい目で見ている。妙な勘違いをされていそうだ。遺憾の意。

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mikitty(プロフ) - あけましておめでとうございます! (1月10日 17時) (レス) @page24 id: 75972ecbb8 (このIDを非表示/違反報告)
伊波トウナ(プロフ) - 続きはもう無いのですね... (4月19日 12時) (レス) @page24 id: ce08f5279c (このIDを非表示/違反報告)
レイカ(プロフ) - 続きは書かないのでしょうか? (2020年4月13日 2時) (レス) id: 2f295bf970 (このIDを非表示/違反報告)
無題 - そうだったんですか…。残念ですけど、今まで楽しく面白い作品をありがとうございました!!貴方の作品、大大大好きでした。くらげ様の新しい作品、とても楽しみにしています。本当にありがとうございました!! (2019年5月11日 6時) (レス) id: 9aad1e7bf8 (このIDを非表示/違反報告)
ぽこ - 更新停止なんですか?_| ̄|○ il||li (2019年2月3日 0時) (レス) id: 46db25293d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:くらげ | 作成日時:2018年10月13日 20時

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