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突然のことだったのだ。
その日はいつも通りの、
当たり障りのない日常だった。
今思えば、吐きそうな程に。
悲しいくらいに…アイツらが側にいた。
…平和ボケした日常に突如打たれた残酷な終止符、とでも形容すれば分かって貰えるだろうか。
とにかく、予想外のことだった。
いや、ロボロが編んだセキュリティを潜り抜け、兵士の目を盗み総統室まで辿り着ける者がいるなどと、一体何処の誰が予想出来る？
あの日、いつも通り紅茶を飲みながら書類を片付けていた俺は、突如急激な眠気に襲われた。
ガクンと頭が落ちる。
全身の筋肉が弛緩し、解け、気付けば俺は、そのまま机に突っ伏すようにして意識を失った。
そして色取り取りの闇だ。底無しの眠りの世界に、無抵抗に落ちていく。
…バルコニーに立つ黒い人影にも気付かずに。
_______次に目を覚ました場所は、城ではなく、照明の絞られた埃っぽい倉庫のような場所で、俺を囲う人間は長年連れ添った仲間達ではなくて、薄汚い格好をした見知らぬ男達。
視界に映るは鉄格子。首と腕に触れる金属の冷たさに、俺は自分が囚われたのだと、ほとんど本能的に理解する。
「ここは…何処だ」
そんな俺の問い掛けに返ってきたのは、嘲笑
お前は先日誘拐され、一週間後開催される闇オークションにて売り飛ばされることが決まったのだ、と。
…吐き捨てられるようにしてそう告げられた時は、服の中に氷を一塊突っ込まれたような寒気を覚えたものだ。
信じられなかった。
いや、どれだけ信じたくなくても、この首と手を重く縛る首輪と手枷は、俺に現実逃避を決して許さないのだ。
こいつらによると、どうやら俺は先のオークションの目玉商品らしく、体を酷く拘束されているとはいえ扱いは割と丁重だった。
大切な商品が傷物になったら困るから、と。
そう、俺はここではただの【商品】に過ぎない。
少なくともこいつらから見れば、俺はもう【総統】なんかじゃない。
…
「トントン」
名を呼ぶ。あの夕暮れを滲ませたような相棒の名前を。
「ゾム、」
それから翡翠。
「…オスマン」
アレキサンドライト、
青硝子、紫水晶、そうして順々に名前を呼ぶ。
返事もなく、ただ静寂に吸い込まれる名の何と虚しいことよ。
「…あぁ、」
…ここは寒い。
「何故眠ってしまったんだ
あの時もっと周りを警戒していれば
……すまない、皆」
今更考えたって遅いことを。
「もう、生きていられるかも分からないんだ」
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お月様 - 滅茶苦茶おもろかったです！待ってたけどようやく27話でロボロさんの所出た！続編おめでとうございます！ (2021年1月2日 17時) (
レス) id: b347abc4d4 (このIDを非表示/違反報告)
セツナ - 火ぃつけろ火ぃぃぃぃ！！！wwww腹筋バキバキになったんですけど腹筋返して（）神様お疲れ様です！ (2020年5月26日 21時) (レス) id: 274ac26baa (このIDを非表示/違反報告)
しゃち - 43の最初にある有限実行の“限”は“言”ではないでしょうか？勘違いでしたら申し訳ございません。ラットさんの作品大好きです！ (2020年4月16日 13時) (レス) id: 6540cc437a (このIDを非表示/違反報告)
蓮 - うますぎませんか！？画力をわけて！！更新頑張ってください！！応援してます！！ (2020年4月3日 23時) (レス) id: 5db7ec7919 (このIDを非表示/違反報告)
楓@卍教 - 絵も文もうまいだと…？神…？いや天才…？(錯乱)まじで好きです応援してます (2020年3月21日 15時) (レス) id: 84c734c3e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ラット
| 作成日時：2019年11月16日 21時
