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「せやな俺の伝え方が悪かったわ。…勘違いさせてもーた」
ゾムさんはぽんと抱えるように私の頭に手を置き、そのままぐしゃぐしゃと乱暴に髪を撫でた。
残念ながら位置的に彼の顔…つまり表情は見えない訳だが
フードの端を掴み目元に影を作る彼に、もう妙な厭らしさは感じない。
「…甘やかされるのに慣れときってことや」
『…？』
______何、それは。
訳が分からず私は首を傾げる。
『キスをされるのと…甘やかされるのは同義なの？
そもそも甘やかされるの意味が分からない。…いや、言葉の意味ではなくて』
分かる、スポイルだろう。そっちじゃない。
「頬のキスの意味分かるか？」
人差し指でトントンと自分の頬をつつき、ゾムさんは私にその意味を問う。
…えぇと…敬愛、いや、違う、それは手の甲だった筈。
昔本を読み漁った際獲得した知識を蹴散らかしながら、うんうんと唸る私は、ようやくその答えに行き着く。
『…______親愛』
「せや」
『…』
…つまり、
「アンタは俺等にとって親愛を寄せる相手やから、これから俺らにいーっぱい甘やかされるってことやで。
そらもう、無制限にな」
そんなの、あのたった一回のキスで分かる訳ないだろうが。
『…にしたって、可笑しくないの。
その"甘やかす"っていうのは、要は甲斐甲斐しく世話を焼かれるということでしょう。
それは…メイドさんの仕事じゃ』
「ちゃうわ。俺らが甘やかさんと意味ないやん。
アンタの"寝れない病気"を完治するのが俺らの目的なんやから、これからアンタが城に暮らすに当たって、まず一番身近な奴等のこと安心できんと寝るどころじゃないやろ」
『…成る程？』
まぁ、何となく、分かった気がしなくもない。
成る程、それで甘やかすという発想か…が、しかし違和感が拭えない。
甘やかす
その言葉に子供じみた響きがあるのが大方の原因だろうが。…何せ私は今19歳だ。成人ではないが、子供でもない。
『…子供をあやすのとはまた違うんですよ。
あなた方がどう私を甘やかすつもりなのか、とても気になる』
「んふふ、まぁどっちにしろ悪いようにはせんのやから、不安がることないで。
ほなアイツらも待ってることやし、食堂行こか」
にかっと笑うゾムさんは此方に手を差し出し、私は躊躇いがちにそれを握り、二人して部屋から出た。
『…でも、それってしんどくない』
「？
何がや」
『甘やかせって"命令"したの、総統サマじゃないの
______…人から強制される人間関係ほど、辛いものってないでしょう』
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お月様 - 滅茶苦茶おもろかったです！待ってたけどようやく27話でロボロさんの所出た！続編おめでとうございます！ (2021年1月2日 17時) (
レス) id: b347abc4d4 (このIDを非表示/違反報告)
セツナ - 火ぃつけろ火ぃぃぃぃ！！！wwww腹筋バキバキになったんですけど腹筋返して（）神様お疲れ様です！ (2020年5月26日 21時) (レス) id: 274ac26baa (このIDを非表示/違反報告)
しゃち - 43の最初にある有限実行の“限”は“言”ではないでしょうか？勘違いでしたら申し訳ございません。ラットさんの作品大好きです！ (2020年4月16日 13時) (レス) id: 6540cc437a (このIDを非表示/違反報告)
蓮 - うますぎませんか！？画力をわけて！！更新頑張ってください！！応援してます！！ (2020年4月3日 23時) (レス) id: 5db7ec7919 (このIDを非表示/違反報告)
楓@卍教 - 絵も文もうまいだと…？神…？いや天才…？(錯乱)まじで好きです応援してます (2020年3月21日 15時) (レス) id: 84c734c3e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ラット
| 作成日時：2019年11月16日 21時
