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___________…
「ジャレット様、本日は落札、誠にありがとうございます。
お品物は、此方で間違いございませんか？」
『えぇ』
オークショニアが渡す売買関係の書類をさっさと片付けて、
『…鎖の鍵を早く。あとその人』
と、無愛想に指示を出す。太客だとでも思われたら堪らない。
「えぇ、お客様、此方が鎖の鍵でございます。ところで、次回のオークションについてですが…
あ、ちょっと！」
オークショニアの説明を無視しつつ私はソファから立ち上がり、総統サマの首から垂れる鎖をふわりと引いて、部屋の出口へと向かった。
彼はさして抵抗もせず、私の後ろをついてくる。
背後から制止の声が上がるが気にしない。二度とこんな場所来るか。
外に出てふと後ろを振り返ると、総統サマは相変わらず感情の読めない瞳で、此方をじっと見下ろしていた。
私はに、と笑って、
『…お怪我はありませんか、総統サマ。
少し前失礼しますね。今、靴墨を払いますから』
「……！
…あ、あぁ…ありがとう…？」
彼の口から零れ落ちるは、露骨な疑問符。
爪先立ちをして、その綺麗な肌に擦り付けられた墨の汚れを指先で払う。
『ん、これでよし。綺麗になりましたよ。
あぁ、首輪と手枷重いでしょう。今外します』
と、先程オークショニアから貰った鍵を取り出した。
「お前、は…」
何の迷いもなく鍵を錠に差し込む私に、いよいよ不気味そうに表情を歪める総統サマが、その艶やかな唇の端から言葉を紡いだ。
「お前は…何なんだ。
莫大な金額を支払っておきながら、
…何故、俺を敬うような態度を取る？
拘束具を外したら、俺は逃げるかもしれないんだぞ」
『それはそれで構いませんが…』
「待て、それではお前の目的が__________」
かちっ
ｶﾞﾁｬﾝ！！
無機質な金属音。
外れた手錠と首輪が地面に叩き付けられる音が、静かで冷たい路地裏に大きく響いた。
幾週間ぶりの解放感からか、彼は手錠の外れた手首を軽く擦り、驚きに満ちた顔で再度私を見る。
まさか本当に外すとは、という心境なのだろう。
『そう矢継ぎ早に質問されては困ります。
…まずは申し遅れました。私の名前はA・ジャレット。
職業は殺し屋。書類上貴方の主人に当たりますが、私にその気は無いのでご安心を。
…まぁ、こんな路地裏で込み入った話も何です。
私の宿に案内致します。
話はそれからでも遅くはないでしょう』
地面に転がった、先程まで総統サマを拘束していた鎖。
それを足の爪先で蹴飛ばす。そして振り向いた。
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お月様 - 滅茶苦茶おもろかったです！待ってたけどようやく27話でロボロさんの所出た！続編おめでとうございます！ (2021年1月2日 17時) (
レス) id: b347abc4d4 (このIDを非表示/違反報告)
セツナ - 火ぃつけろ火ぃぃぃぃ！！！wwww腹筋バキバキになったんですけど腹筋返して（）神様お疲れ様です！ (2020年5月26日 21時) (レス) id: 274ac26baa (このIDを非表示/違反報告)
しゃち - 43の最初にある有限実行の“限”は“言”ではないでしょうか？勘違いでしたら申し訳ございません。ラットさんの作品大好きです！ (2020年4月16日 13時) (レス) id: 6540cc437a (このIDを非表示/違反報告)
蓮 - うますぎませんか！？画力をわけて！！更新頑張ってください！！応援してます！！ (2020年4月3日 23時) (レス) id: 5db7ec7919 (このIDを非表示/違反報告)
楓@卍教 - 絵も文もうまいだと…？神…？いや天才…？(錯乱)まじで好きです応援してます (2020年3月21日 15時) (レス) id: 84c734c3e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ラット
| 作成日時：2019年11月16日 21時
