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とある国、とある街の一角にある、
_____________とある寂れた廃劇場。
その気になれば、百組のペアがバロック・ダンスを踊れそうな大広間に並べられた客席には、普段人が集うことは決してない。
それが現在、この巨大な空間は、人々の抑圧された喧騒で支配されていた。
何故なら今夜、この廃劇場にて、大規模な闇オークションが開催されているからだ。
して、私はそのオークションに参加する客の一人。
「次は北の大地にて少数民族の秘術により織られた、大変希少な此方の絹。
蜉蝣の羽の様に見事でしょう…？！」
『………はぁ…』
しかし、私はこの催し物に大して興味が無かった。
『目玉商品はまだですか？』
少し顔を傾けて、隣の席に座る男に小さく話し掛ける。面識はないが、構わない。
男は眉を寄せ、訝しげに私を見た。
「アンタ、カタログを見ていないのか？」
『元々興味があって来たわけじゃない』
「へぇ、変わってるな。なら何故ここに？」
『……………少し、
金を稼ぎ過ぎてしまって』
___________自分のことながら、随分奇妙な物言いをしているのは自覚している。だが、他には何とも形容し難いこの状況。
最近、殺し屋としての仕事があまりにも順調過ぎて、私は少々金を荒稼ぎし過ぎてしまった。
どこかに預けるにしても、金額が大きすぎる。
少し思考を巡らせた結果、全てが法外な値段で取引される闇オークションにて、多少の貯蓄を減らそうと思い至ったのだ。
オークショニアの陽気な声に合わせ、随分豪胆な考えだと自分でも苦笑してしまう。
「お、次が最後の品みたいたぞ」
『やっとか…』
耳が腐りそうな貴族の戯言ともこれでおさらば。
どうせ金を消費するのなら
この世で一番美しいものを。
その一心で、本日の目玉商品を心待ちにしていた。
さて、何が出てくるのやら。
「_________さぁ、残念ながら、本日最後の商品となってしまいました。
しかし皆様お気を落とさず。
まるで血を輝かせたが如く美しい深紅の瞳。
純金を垂れ流したような艶やかな御髪。
整った顔立ちはまるで彫刻のよう。
…ご覧ください。
隣国の城より捕らえて参りました。
我々国総統グルッペン・フューラー、
その人でございます_________」
照明が落とされた観客席に比べ、商品が一際目立つようにと明るく照らされた舞台の中央で、鎖に繋がれた見目麗しい金髪赤眼の男。そこかしこから歓声が上がる。
『……どうして』
流石に…
『予想もしてなかった…』
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お月様 - 滅茶苦茶おもろかったです！待ってたけどようやく27話でロボロさんの所出た！続編おめでとうございます！ (2021年1月2日 17時) (
レス) id: b347abc4d4 (このIDを非表示/違反報告)
セツナ - 火ぃつけろ火ぃぃぃぃ！！！wwww腹筋バキバキになったんですけど腹筋返して（）神様お疲れ様です！ (2020年5月26日 21時) (レス) id: 274ac26baa (このIDを非表示/違反報告)
しゃち - 43の最初にある有限実行の“限”は“言”ではないでしょうか？勘違いでしたら申し訳ございません。ラットさんの作品大好きです！ (2020年4月16日 13時) (レス) id: 6540cc437a (このIDを非表示/違反報告)
蓮 - うますぎませんか！？画力をわけて！！更新頑張ってください！！応援してます！！ (2020年4月3日 23時) (レス) id: 5db7ec7919 (このIDを非表示/違反報告)
楓@卍教 - 絵も文もうまいだと…？神…？いや天才…？(錯乱)まじで好きです応援してます (2020年3月21日 15時) (レス) id: 84c734c3e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ラット
| 作成日時：2019年11月16日 21時
