11□雨の日ラプソディー2 ページ2
ぴこん、と彼の携帯が鳴ったあとに動いてた手は止まって
その代わりに勢いよくこっちに振り向いた。
え、なに。西田がこっちに近づいて来る。
あまり隣に並ぶことはないけどやっぱり彼は大きくて。
他の同級生に比べれば尚更。
私の頭がちょうど彼の肩ぐらいで、必然的に見上げる形になってしまう。
そんな彼は傘を私に傾けた。
「途中までなら入れてっても…」
「え?」
「…嫌ならいいけど?」
「…!!」
いつも話の中心にいて、男子達とふざけてるような感じだけど
一瞬見えた、ふっと笑った大人な顔に心臓が少し跳ねた。
…お願いします、そう言った私に今度は笑って。
今まで感じた事のないドキドキ感が私を襲う。
「家どっち?」
「…このまままっすぐ」
「同じ方向か」
私が濡れないように少し傾けてくれる傘
私の歩幅に合わせてくれる優しさ
時々触れ合う肩と肩に、ドキドキしてしまうのはなぜだろう。
相合傘なんて今までに経験したことなんかないから
どうすればいいかなんて全然わからない。
ちらりと顔をあげれば、いつもは見ない角度の西田がそこにいた。
キリッとした目鼻立ちに、部活で鍛えてる腕や肩周りは男の子って感じで…
「何?」
「いや。何でもない」
慌てて答える私に、不思議そうな顔をする彼。
…何だかいつもと違う雰囲気に会話もままならない。
逆に意識してるのがバレバレな気はするけど。
何を話せばいいのか、頭で考えてはみるけどなかなか口から出ない。
傘に当たる雨の音や、遠くで聞こえる車の音が少し大きく感じた。
10分ぐらい歩いたところで、自分の家に到着
早く終わってほしい恥ずかしい気持ちと、
それに反して少し寂しい気持ちと入り混じった変な感情が渦巻く。
「ありがとう。助かった」
「おう。また明日」
そう言った彼はこっちを振り向く事なく行ってしまった
少しの間その背中が見えなくなるまで見送る。
また明日、そう言って笑った彼の顔が頭からこびりついて離れないのは
つまりはそういう事なんでしょうか?
雨の日ラプソディー
(どうしよう、あいつがいる。傘無いのかも)
(送ってってやれよ!ポイント高いぞ)
(…送ってきた。めっちゃ緊張したわ)
(よくやった、西田!)
なんて会話があったのは男子達だけの秘密。
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noranekosan(プロフ) - リリさん» リリさんはじめまして。ありがとうございます!私もリリさんのお話読ませて頂いてたので嬉しいです。゚(っ゚´ω` ゚c)゚。今後も頑張って書いていくので、是非とも見ていってください!! (2019年11月12日 22時) (レス) id: e3a91e1b0b (このIDを非表示/違反報告)
リリ(プロフ) - はじめまして。いつも楽しく読ませていただいています。のらねこさん(とお呼びしていいのでしょうか?)の書かれるお話どれも素敵なので、これからも楽しみにしています(*´˘`*) (2019年11月12日 16時) (レス) id: 3f90fe2b5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:as | 作成日時:2019年11月2日 2時