【ヒロアカ】お前…地味男じゃなかったのかよ……（震） (ページ8)

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極限状態。

そんな単語がふと頭をよぎった。

または絶体絶命。こちらの方が適切だろうか。

何にせよ、緑谷がヤバい状況に立たされているいるのは明確だ。

相澤先生の赤く光る瞳と、ギリギリと緑谷を締め付ける拘束布と、緑谷の絶望に似た表情。

「緑谷出久……お前の力じゃヒーローにはなれないよ」

そして告げられるあまりにも厳しく、残酷な言葉。

それは要するに、「お前は除籍処分だ」ということだろうか。

トータル成績最下位の者は除籍処分。そう先生は言っていた。あの言葉が嘘だとは到底思えなかった。

そしてこのままいけば、緑谷はぶっちぎりの最下位。

俺は頭痛がしてこめかみを押さえる。

「死齊くん、大丈夫？」

横から麗日さんが声をかけてきた。

『あぁ、大丈夫。ちょっと頭痛くなっただけ。

…緑谷、心配だね』

「そう、やね。死齊くんと緑谷くん、仲良いもんね」

『仲良いっていっても、今日知り合ったばっかなんだけどね』

そう言って俺は苦笑する。

知り合ったばかりなのに、俺、緑谷のこと心配しすぎだなぁ。

個人的にすごい好きな同性のタイプだから仕方ないんだけども。大人しそうで。

……ホモじゃねぇから。ただの友情だから。沸くなよ腐女子共。

そんなことを悶々と考えていると、再び相澤先生の気だるげな声が響いた。

「個性は戻した。ボール投げは2回だ。とっとと済ませな」

先生がこちらに背を向けたタイミングを見計らって、俺は緑谷に近づく。

「死齊くん…」

『緑谷、その、何て言っていいかわからないけど……

……頑張れ』

「！

うん、そうだね。僕、、ヒーローになるんだ。

…なりたいんだ。最高のヒーローに」

それは自分に言い聞かせるような言葉だったけど、俺はホッとした。彼はまだ諦めていない。

『折角できた友達が初日で除籍処分とかイヤすぎるし、あんなこと言われたんだ。あの先生にも一泡吹かせてやれ』

俺はニヤリと笑い、緑谷を送り出す。

俺も俺で踵を返し、後ろに下が_____

「スマァァァァァッシュッ！！」

『…へ？』

ピッ

「705.3」

はて、今何が起こったのか………。

タイミングを逃したばかりに、俺の中で彼の個性は依然謎に包まれたままだ。

だがしかし、

「…先生、」

『…！』

「まだ、動けます……！」

相澤先生が「こいつ…！」とニヤリと笑ったのを見て、緑谷の除籍処分はあり得ないと、俺は確信した。