幼馴染みの特権【牛島若利】2 (ページ6)

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「いてえ」

突然だが、親知らずを抜いた
大会前から抜かなければいけなかったのだが、前世で親知らずの痛みを知っているので行くにも足が進まなかった
自分の母親が早く抜いてこいと俺に制裁を下した、死にてえ

そのため部活を休み歯医者に行っていた
今から行っても部活はやっているがどうにも親知らずが痛すぎて行く気になれなかった
この痛みやべえぞ、なんも食えねえ気がする

「あれ、先輩じゃないスカ」

「え、あ」

バレー部の、えっと、

なんて名前だっけ

つか、でけえな、若利くらいか

「今日部活休みましたよね、よかったです生きてて」

「え、なに、俺死ぬって伝えられてたの」

俺たしか天童に親知らず抜いてくるって言っただけなんだけど

「え、なんか天童先輩から『今日発売するモンキーハンターを死ぬ気で買いに行くから休み』って言われたんですけど」

「ねえなんで信じるの」

親知らず抜いてきただけだよ、と言うと納得したようだ
てか、誰

「…先輩俺の名前忘れましたね??」

え、エスパー

「忘れてねえよ、山田孝之だろ」

「それは俳優です、一文字も掠ってないっすよ
川西太一ですよ」

ああ、川西か、思い出した
白布といつも一緒にいるやつ、バレーもうまいやつ
天童と同じポジションだったな

いつも家の用事があるからと言って自主練はいないんだよな、天童絡みで少し話したことはあるがそんなこと忘れていた

.

.

.

「ほら、受け取れ」

「え、ありがとうございます」

コンビニに寄った俺と川西は外にあるベンチに座っていた
川西は俺からもらったホットココアを大切そうにチビチビ飲んでいた
今は冬なため外は寒い、そして川西達にも高校生初めての後輩ができる、無表情でいつもいるが少しは楽しみであろう

「、先輩、少し飲みますか」

俺の返答を待たないでホットココアを俺に渡してきた、え、俺親知らずだから飲めねえんだけど
何も言えずされるがまま受けとったため俺もチビチビ飲んだ

すると川西が口を開いた

「俺、負けないっていう確信のある試合がしたいです」

「へ、」

何を言い出すと思ったら、川西を見たら三白眼が遠くを見つめてた
思わず俺は息を呑んでしまいまたホットココアを黙ってチビチビ飲むことしかできなかった