幼馴染みの特権【牛島若利】2 (ページ5)

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牛島side

突然だが、俺の幼馴染みはモテる
バレーをやっている男なら誰でも見惚れるほど綺麗なバレーをする
正直不安である
Aは気さくで正直者であるから嫌う者も少ないと思う、だから不安になる

ある日テスト前で部活が無い日休み時間になると必ず俺はAの教室へ行く
俺は勉強が出来ない訳では無い、Aよりできないだけだ
とは言ってもAも数学や英語は微妙である
出来ない訳では無い、微妙なのだ

「わぁ、若利くんだあ」

「あのふたりすごく仲いいよね」

「Aくんに勉強教わってるんだって～
勉強もできるってやっぱりすごいね～」

女子生徒の会話が聞こえてくる
正直耳にはあまりいれたくなかった
何故か知らないが不愉快に思えた
女子生徒が不愉快ではなく、その会話がだ

俺の不安をより一層大きなものにしていて、嫌だった

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「若利はさすげえモテるよな」

勉強している中Aは俺の顔を見ずそんなことを言い出した

「俺さたまに不安になるんだよな
若利がどっか行かないか、バレーでも学校でも
俺の幼馴染みなのに、そこら辺の奴らよりは俺の方が長くいた筈なんだけどな」

ああ、同じだ
Aは俺と同じことを思ってる
嬉しかった、単純に嬉しくて、ペンの走る音が遅くなった

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「その方が、日頃の俺の気持ちがわかっていいんじゃないか」

「へ、」

一つのペンを走らせる音が止まる

俺ではない、Aのものだった

俺はAの顔が見れなくてツンとペンを走らせたままAは口を開いた

「…不安ですか」

「ああ、とても不安だ」

そう言ってAの方を見ると顔が赤かった

心配したのに何故かうるせえ、と言われあしらわれた

でも、同じ気持ちだとわかり俺は少し安心した

「幼馴染みの特権だな」

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「も、無理、死ぬ」

「お、おい、大丈夫かよ」

「瀬見、俺そろそろあの幼馴染みに殺されるかも」

「顔真っ赤にさせてニヤニヤしてるから説得力皆無だぞ」

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