宏光と24H (ページ1)

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5:00AM

ひとり、またひとりと帰っていく中

こうしていつも最後に残るのは私

と、宏光。

「ねぇ............そろそろ帰る？」

私も宏光もどんだけ呑んでも、今日は酔えない

「ん...いや、もうちょい」

なんでそんなに酔えないの？

そんなこと聞けない、聞かない

そんなこと分かってる

「どっちが最後まで残れるか勝負しようぜ」

いつもの飲み会のはずなのに
今日に限って宏光は呑む前にこう言った

2人とも同じくらい、友人が潰れてもなお呑み続けて

なのに酔えないのは宏光のせい

「......俺、結婚決まったんだよね」

そんなこと知ってたよ

付き合ったのも、初めてのお泊まりのことも.....

だって、全部わたしに話して聞かせてたじゃん

そんなこと聞きたいなんて言ったことない

.......聞きたくない、とも言えなかったけど

私が宏光を好きなこと

一緒に呑んでる友人達も誰も知らないんだから

ずっと好きだったよ

今も、

「....なぁ.....おめでとうとか言ってくんねーの？」

宏光がグラスを傾けながらこっちを見てる

その視線だけで
胸が熱くなってしまうのは今も好きだから

「おめでとう」

言ったよ？言ったけど............

「これから、こうやって呑んだりできなくなるかもな」

そんなこと分かってる

分かってることあえて言わないでほしい

「そ、そりゃそうでしょ。奥さん泣いちゃうよ」

私の最大限の強がり

宏光はまた静かにグラスを傾けて1口呑む

「お前は、それでいいの？」

今度はわたしを見てくれない

「っ......いいも何もダメでしょ」

”友人関係”ということを突きつけられているようで

ただ、ただ、楽しいはずの宏光との時間が虚しくなってグラスに目線を落とす

「.....俺は、また会いたいけど？」

顔を上げると宏光がこっちを見ていて

宏光と目線が合う

「どうする？」

”決定権はお前にあるよ”

と、でも言ってるような目線に捕らわれて

「...........会う」

そう答えた私に
満足そうに目尻に皺を寄せて笑う宏光

あぁ、もう少しこの笑顔を向けてくれるなら

宏光から抜け出せない私とグラスに残る水滴

そんな5:00AM