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35 お姫様 ページ35

手を伸ばしても声をかけても、彼らは振り返ってはくれない。真っ白な世界に2つの影、白と黒。わたしと彼らの間に置かれたひとつの鍵。




『…鍵…?』


ー 君は僕の大切な【鍵】だからね。




頭の中に突然、紡がれた言葉に涙が零れる。わたしは、貴方の大切な【鍵】。白くて優しい記憶。貴方がいてくれたから、わたしが今いる。




『…しゅ、ん…隼…?』




ぼんやりとしていた記憶が鮮明に色づく。笑った顔も哀しい顔も全部。




「君が望んでくれるのであれば、僕はいつだって君のそばにいるんだよ。ほら、顔上げて」




耳元で優しく囁かれた言葉に顔を上げれば、優しく笑う白いヒト。腕をそのまま惹かれ、その華奢な腕の中に収まる。




『…隼…っ!!』


隼「思い出してくれてありがとう。君が望めば僕はいつだって君のそばに居られるんだ。心配かけてごめんね」




それはわたしが愛した世界。そして、もう一人。いつもそばにいてくれた黒いヒト。




『…はじ、め…始は…?』


「全く、世話が焼ける。俺を思い出すのは隼の次なのか…?」




気高きわたしの王様。ぽんと頭を撫でられて、そちらに視線を向ければ、優しく笑う始がいた。ぽろりと涙が溢れて、それを人差し指でゆっくりと拭ってくれる。




隼「ふふ、始はどうやら僕に妬いてるみたいだ」


始「…うるさい」


『…っ、ふたりとも…!わたしのこと、おいて…どこに…っ』




隼から体を離した瞬間に、涙が一気に溢れ出てしまった。そして、途切れ途切れに問う。




始「…落ち着いて話せ。もう、いなくならない」


隼「寂しい思いをさせてしまったね。でも、もう大丈夫。君が僕たちのことを思い出してくれた」


始「想いは力になる。俺たちはお前の想いに引き寄せられたんだ」


『…っ、隼、始…っ!』




隼が正面から抱きしめてくれて、始が後ろから優しく抱きしめた。

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設定タグ:ツキウタ , 霜月隼 , ツキステ   
作品ジャンル:アニメ
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衣里(プロフ) - 初めまして、全作品読ませて頂きました、懐かしくて涙が出てきちゃいました、紅縁、スクレボ、サバコレぜひとも書いて欲しいです。これからも頑張ってください (2019年10月6日 7時) (レス) id: a37957c804 (このIDを非表示/違反報告)
mel(プロフ) - みほさん» ありがとうございます。機会があれば書いてみたいなと思っていますが、円盤が出てからになるかと思います。申し訳ございません。 (2018年11月25日 19時) (レス) id: cd9818e417 (このIDを非表示/違反報告)
みほ(プロフ) - 初めまして。いつも楽しく読ませていただいてます。紅縁のストーリーを小説化してください。 (2018年11月24日 20時) (レス) id: 40d86cc87b (このIDを非表示/違反報告)
mel(プロフ) - ゆきさん» ありがとうございます!更新はゆっくりですがまた遊びに来てくださると嬉しいです!お待ちしております。 (2018年9月22日 17時) (レス) id: cd9818e417 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - melさんの作品全部大好きです。また新作の更新常に楽しみにしてます!!無理せず頑張って下さい! (2018年9月20日 23時) (携帯から) (レス) id: 11be993efd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:mel | 作成日時:2018年7月30日 23時

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