34 お姫様 ページ34
葵の部屋を出た。春が「どうしたの?」と優しくわたしの瞳を覗き込んでくる。
『春、あのね…なんか…』
うまく言葉にならない。何をどんな風に伝えたらいいのかわからない。だけど…春に何かを伝えたら少しだけ何かが変わる気がした。 春は何も言わないわたしににこりと笑った。
春「Aちゃん?ペンダント、曲がってる。直してもいい?」
『あ、うん』
ペンダント…?首元見れば小さな鍵のモチーフのついたペンダントが付いていた。
『…春、』
春「これ、Aちゃん大切につけてるよね。よく似合ってる」
『このペンダント…』
あ、まただ…だけど、次は黒いヒトではない。頭の中にいるのは温かい記憶の中にいる真っ白なヒト。誰、あなたは…?
『春、あのね。わたし誰かのこと思い出せなくてモヤモヤして…思い出したいのに思い出せなくて…』
春「…俺も、なんだ…大切な何かを忘れてるような気がするんだ。だけど、俺も思い出せない…」
『春もなの…?』
春は困ったように笑った。思い出せない。すごく大切だった気がするのにどうしてなの…?貴方たちは誰なの?気高い黒を背負ったヒト。儚げな白を身に纏ったヒト。どちらもすごく大切で、わたしのそばにいてくれた人。
中庭に腰を下ろしてぼんやりと遠くを眺めた。日差しが暖かくて、だんだん瞳が重くなってくる。
ねえ、貴方たちは誰なの?
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衣里(プロフ) - 初めまして、全作品読ませて頂きました、懐かしくて涙が出てきちゃいました、紅縁、スクレボ、サバコレぜひとも書いて欲しいです。これからも頑張ってください (2019年10月6日 7時) (レス) id: a37957c804 (このIDを非表示/違反報告)
mel(プロフ) - みほさん» ありがとうございます。機会があれば書いてみたいなと思っていますが、円盤が出てからになるかと思います。申し訳ございません。 (2018年11月25日 19時) (レス) id: cd9818e417 (このIDを非表示/違反報告)
みほ(プロフ) - 初めまして。いつも楽しく読ませていただいてます。紅縁のストーリーを小説化してください。 (2018年11月24日 20時) (レス) id: 40d86cc87b (このIDを非表示/違反報告)
mel(プロフ) - ゆきさん» ありがとうございます!更新はゆっくりですがまた遊びに来てくださると嬉しいです!お待ちしております。 (2018年9月22日 17時) (レス) id: cd9818e417 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - melさんの作品全部大好きです。また新作の更新常に楽しみにしてます!!無理せず頑張って下さい! (2018年9月20日 23時) (携帯から) (レス) id: 11be993efd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mel | 作成日時:2018年7月30日 23時