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○black side○
「きみくん!」
改札抜けたところで丸子に呼び止められた。
「おぉ。丸子も同じ電車乗ってたんか?」
「…待ってた。きみくんと一緒に帰りたくて」
そろそろやろな、とは思ってたけど。
「アイス、食べ行くか」
「…行く」
チビの頃からのお決まりのコース。
話したいことがある時は、ここで待ってる。
家だといつもたつよしかしょーたがベッタリやから。
オレと丸子のささやかなデート、やな。
「背、伸びたか?」
「ふふふ。もう伸びひんよぉ。ヒール、高いの履いてるから」
並んで歩くのも久しぶり。
「アイスやなくて、ビールでもええぞ」
「ビール苦手やもん。お酒は、ちょっと止めとく」
「ほぉか。ほな、いつもんとこでええな」
「ん。いつもんとこがいい」
商店街の端っこの古い喫茶店。
ドアを開けるとカランカラン、カウベルの音がする。
「いらっしゃい。今日は丸ちゃんとデート?」
「せやねん。コーヒーとバニラアイスね」
「ママ、こんにちは」
「いいねぇ、丸ちゃん。相変わらず仲良しやね」
顔馴染みのママが一番奥の席に案内してくれた。
うちの家族が来る時の定位置。
いつもやったら、アレコレとお喋りな丸子の口数少ないのは
よっぽど思い詰めてるんやろな。
大好きなバニラアイスが来ても、俯いてなかなか話出そうとしない。
「なんや、元気ないなぁ」
オデコをピン、と弾くと俺を見上げる泣きべそ顔。
「…元気ない」
「まぁ、ヒナから聞いてるけどな」
「ごめんね、心配かけて。外泊…も。」
「ええねん。そんくらいの年んなってなんにもないほうが心配やわ」
アホやなぁ、言うたら丸子の目からぽろん、と涙が零れた。
「…きみ…く…アタシな」
「ん…」
「…どしたらええ?」
オレとヒナの答えは、もうとっくに決まっとる。
「丸子の…ふたりの好きなようにしたらええよ」
「…でも」
泣き顔は、初めて会った頃から変わらんなぁ。
「オレもヒナちゃんも、とーっくに覚悟決めてんで。
おまえら姉弟が幸せでいるんなら、なぁんでもええねん。
何があっても、世界中敵に回してもおまえら3人の味方や。
それ、忘れんでいてな」
よく笑って、お人好しで気つかってばっかりのオレの娘。
「ほれ、アイス溶けてまうで」
「ん、ありがと。オトン」
鼻水啜りながらアイス食べてる。
この子がずっと幸せでありますように。
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さやか(プロフ) - はじめまして。いつもめろんぱんさんの作品を楽しく見させていただいております!!多くの作品にパスワードを付けていらっしゃると思うのですが、もうめろんぱんさんの作品は読むことができないのでしょうか、、、 (7月12日 16時) (レス) id: dd61441407 (このIDを非表示/違反報告)
cayochi(プロフ) - めろんぱんさん» なんやねーん。ズルないでぇ (2020年9月24日 19時) (レス) id: 89ed3d2d70 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - くぅう かよさんずるい (2020年9月24日 18時) (レス) id: b5cc118e0b (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - さやさん» こちらこそありがとうございますーー!!!! 双子の名前まで考えてました。楽しすぎました。みんな幸せでよかった。。。 ありがとうございます!!!!! (2020年9月24日 18時) (レス) id: b5cc118e0b (このIDを非表示/違反報告)
さや(プロフ) - 素敵なお話が出来てる……弟が居て双子まで…なんて幸せ!!そして私の大好きな画像をここまで広げてくださりお二人には感謝です!ありがとうございました(^^)みんな幸せ!! (2020年9月24日 16時) (レス) id: 806d5009ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めろんぱん/cayochi x他1人 | 作者ホームページ:
作成日時:2020年8月9日 8時