27*side R ページ27
**
とりあえずAの話を聞いてあげようと思って、家まで連れて帰ってきた。
いろいろ溜め込んでたものが一気出たのか、それはそれは子供みたいに泣き出すA。こんな泣くほど思うことがあったなら言ってくれたらよかったのに。ほんと馬鹿。でもそういうところもかわいいじゃんとか思えてしまって、俺もたぶん馬鹿。
「落ち着いた?」
「……うん。ごめんなさい」
「別に謝らなくていいよ。ゆめまるに言われて気にしちゃったんでしょ」
「気にしたっていうか気付いたっていうか思い出したっていうか」
「Aは、ここにいるの嫌?」
「いやじゃない」
「じゃあさ、ここにいればいいんじゃないの?別に俺は出て行って欲しいなんて思ってないし」
うそりょうくんはやさしいからそう言ってくれるだけって顔してる。ほんとに顔に全部出る子だね君は。てつやと一緒。わかりやすい。
頭を撫でて、涙を拭って、こんなに泣いてかわいそうに。目が真っ赤になってる。
「俺のことが嫌になったとか、一人で暮らしたいとかそう言うならしょうがないって思うけど、そうじゃないんでしょ」
「…ここにいたいよ」
「じゃあいればいいだけ。終わり。Aが嫌になるまでここにいてよ」
「ずっと嫌にならなかったらどうするの?」
「ずっとここにいればいいんじゃない?」
「りょうくん、迷惑じゃないの」
「迷惑だったら、最初から一緒に住むなんて言ってないってば」
あ、また泣いた。もうあれだね涙腺壊れちゃったのか。おいでって言って、抱きしめてみた。えっ?りょうくん?って慌ててるAがかわいくて、離したくなくてしばらくそのままでいた。
「本当にここにいていいの?」
「いいよ」
「ありがとうりょうくん」
「はいじゃあ俺てつやの家戻らなくちゃだから、行くよ」
「ん、行ってらっしゃい」
「Aも行くんだよ。虫さんに連れて戻っておいでって言われたし」
「えっ顔ぼろぼろなんですけど」
「いっぱい泣いたもんね」
「りょうくんおもしろがってるでしょ」
「かわいかったなって思っただけ」
「いじわる」
→
149人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
花(プロフ) - ななさん» 温かいお言葉ありがとうございます!拙い文章ではありますが、続けて書いていけるように頑張りたいと思います! (2019年4月23日 23時) (レス) id: 20c6cc5c87 (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - 初めまして!素敵な読み物ありがとうございます(*'▽'*)これからも作者さんのペースで投稿待ってます…! (2019年4月22日 19時) (レス) id: 52db76b921 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:花 | 作成日時:2019年4月13日 20時