空アル番外 リップクリーム騒動 ページ9
いちごの香り。そうかかれたリップクリームのパッケージを見つめながら歩くA。そろそろリップクリームが無くなることに気づいた彼女はコンビニで買おうと決意したそこに、これが置いてあった。香り付きのこれは子供っぽすぎるかな、と悩みはしたものの、つい好奇心に負けて購入を決めたAは軽い足取りでキッチンカーへ到着。そこで出迎えてくれた草薙に、ただいまと一言。キッチンカーの中へと足を進め、いつもの座席に腰をかけた。
｢ふんふんふ〜ん！｣
｢機嫌がいいな｣
｢遊作、先に来てたんだ？｣
Aがリップを取り出し、蓋を開ける。そこからは苺の甘い香りがして、嬉しさからつい頬を緩めた。それを遊作は不思議そうに見つめる。Aは隣から感じる視線に目をやり、にっこりと微笑んだ。
｢いちごのリップクリームなんだって、つい買っちゃった｣
Aのご機嫌な理由がわかっていなかった遊作はそれを聞き納得したように頷く。Aは早速使おう、とそれを唇に添わせて動かした。鼻を燻る甘い香りに頬が緩む。嬉しそうなAに遊作が首をかしげて訪ねる。
｢それの何がいいんだ｣
｢うーん、遊作も使ってみたら分かるんじゃない？｣
最近はメンズ用もあるし、Aがそう言い切る前に彼は一言頷き、彼女に覆いかぶさる。
｢え…？｣
Aが驚きで声をこぼしたその直後、遊作がAの唇に自分の唇を押し付けた。
キス、というには少し違う気がする。その行為は言うならば食べられてる、で。Aは混乱する脳を必死に働かせる。遊作のふにふにと柔らかい唇がAの唇の味を嗜むように挟んだり、舐めたりと数秒。それがAにとって数分に感じる行為が終わる頃。Aは彼の長いまつげを見つめることしか出来なかった。
｢…いちごという割には味がしない｣
遊作は唾液でしっとりと濡れている唇を親指で拭い、それをちろりと出した舌で舐めると、リップクリームの感想を言った。違う、そうじゃない。我に帰った彼女はばっ、と同じ車内にいる草薙に目を移す。彼は以下にも見てません、と先程まで驚いていた顔を彼女から逸らし、知らぬふりで口笛を吹く。手元のソーセージはまっ黒焦げだ。
｢ゆ、遊作の…ばかやろー！！！｣
涙目でキッチンカーを飛び出すAに首を傾げる遊作。流石にあれは遊作が悪い、と知らぬふりをしていた草薙も同情からため息をついた。
sub title：【少女ストロベリーの憂鬱事変】
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 9人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しゅりんぷ(プロフ) - 凌さん» リクエストありがとうございます。了解しました。小説が出来次第上げさせていただきます。 (2021年10月5日 2時) (
レス) id: fea4bb2672 (このIDを非表示/違反報告)
凌 - play maker側の女主人公がリボルバーに奪取され愛されるお話をお願いします。 (2020年10月9日 10時) (レス) id: 0f75895f1e (このIDを非表示/違反報告)
しゅりんぷ(プロフ) - ねこみこさん» リクエストありがとうございます。ハノイの女子隊員リア凸了解しました。出来次第随時更新させていただきます。これからもどうぞこの小説をよろしくおねがいします。 (2018年10月13日 18時) (レス) id: 9546177262 (このIDを非表示/違反報告)
しゅりんぷ(プロフ) - 加藤琉那さん» リクエストありがとうございます。了解しました。小説が出来次第上げさせていただきます。 (2018年10月13日 18時) (レス) id: 9546177262 (このIDを非表示/違反報告)
ねこみこ(プロフ) - リクエストさせていただきます。遊作とハノイの女子隊員のリア凸で (2018年7月22日 13時) (レス) id: 185c2ad794 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しゅりんぷ | 作成日時：2017年10月6日 22時
