【歌い手】KISS【luz】

kiss39 ページ39

「私はさぁ、」

以前私にブスと言ってきた女の子だ。確か。


「実は前は副会長サンのことこんなふうに思ってなかったの。


　勉強ができて、性格もいい。

　積極的に前に出るわけじゃない、つつましい態度。


　顔も結構いいし、」


なんかめっちゃ褒められとるんやけど。

唐突すぎひん？

いや、かまわんけどさ。


「私も、そんなふうになりたいなって、

　勝手に尊敬して、憧れて。


　で、もちろんだけど光くんのことが一年のころから好きで。」


苦しそうな声を出す。

今にも泣きそうだ。


慰めればいいのだろうか。

ごめんねと、謝ればいいのだろうか。


泣くのを我慢しているせいでか、震える肩に手を置いて背中をさすったら、

この子は少しは救われるのだろうか。



知ってる。

私にそんなことをする資格はないと、知っている。


そんなことをするのは、この子たちを侮辱しているのと同じだ。



「だから、勝手に憧れてたあんたが、

　いきなり関係なかった光くんと仲良くなって、


　勝手に失望して、


　嫌がらせしてた。」


でも、本当に尊敬してたんだけどね。

そう言って、笑った。

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