【歌い手】KISS【luz】

kiss12 ページ12

好きな作家さんの新作小説を読んでいたら、

突然教室の外がうるさくなった。


主に女子の黄色い声で。


何となく察しはついたけど、待って、今すごくいいところなん。

そんな思いも虚しく、がらりとドアを開けて中を覗くのは


イケメン君こと、黒崎光。

僭越ながら黒崎と呼ぶことにした。


「あ！そこの女子！ハーフアップの！ちょっとええ？」


このクラスの女子でハーフアップは私だけ。

つまりお呼びなのは私と言うわけやな。


「ちょっと待って！今ええところなん。」


「何が？？」


「小説がー・・・。」

ふぅーん。と云うよくわからん返事がして


分かったとか言えや。と思ってたら、呼んでいた本に影が差した。


顔を上げると予想通り。

こないだもそうやったけど、こいつ結構せっかちやな。


もうちょっとのんびりしてもええんちゃうかな。

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