第9夜 ページ9
「小芭内、申し訳ないが起きるのを手伝ってくれ。」
「まだ治っていない。重症だっただろう。お前はそうやってすぐに無茶をする。そこで寝ながらでも話はできる、寝ていろ。」
「すまない。」
一週間後、任務を終えた伊黒が蝶屋敷を訪れた。
朝霧から真実を聞くためだ。
朝霧は伊黒に腕の包帯を取るようにお願いすると、伊黒はネチネチ言いながらも丁寧に朝霧の包帯を解いていく。
するとこそには伊黒が一週間前に戦場で見た、様々な術式と思われるものが書かれていた。
中でも
【人造人間】
その4文字が異様に特別に見える。
「書いてある通りだ。」
沈黙が続く。
やがて暫くして朝霧から口を開いた。
「俺が造られたのはそう昔じゃない。22年前とかそこらだ。」
ポツリ、ポツリと話が続く。
「この術式が消えるまで俺は死なない。例え仲間が、家族が死んでも。」
朝霧は嘗て生身の人間で、1度死んだということ。
死んだかつての自分の肉片から、今の自分が造られたこと。
失われて戻ってくるはずのない記憶が10年程前に戻ってきたこと。
もう40年以上この世に存在しているということ。
「お前が呼吸を使わないのとそれは関係があるのか?」
「あると言ったらある。ないと言えばない。」
特殊体故に鬼舞辻無惨に目を付けられており、追われており、呼吸法で判別されかねないから滅多に使わないと朝霧は言った。
隠された事実。
「無茶は、するな。頼れ。」
「内密にしてくれ、このことは。皆、知らない。」
「あぁ。」
伊黒は無言で朝霧の手を握り締めた。
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天麩羅 - わわわ更新されてるぅぅううう!! (2020年3月15日 22時) (レス) id: eb9a0c61ed (このIDを非表示/違反報告)
天麩羅 - わぁーーーぁああああ!面白いぃぃぃぃいいいい!更新頑張って下さいぃいい!! (2020年3月14日 22時) (レス) id: eb9a0c61ed (このIDを非表示/違反報告)
小坂谷 真夜(プロフ) - いおりさん» ありがとうございます。そのようなお言葉本当に嬉しい限りです。 (2020年2月1日 22時) (レス) id: 79a8fd2e1c (このIDを非表示/違反報告)
いおり - めっちゃどタイプの小説きたーーーっ、これからも期待して待ってます。更新頑張ってください (2020年1月12日 14時) (レス) id: bce55b4438 (このIDを非表示/違反報告)
小坂谷 真夜(プロフ) - mo4さん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです。 (2020年1月12日 13時) (レス) id: 79a8fd2e1c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小坂谷 真夜 | 作者ホームページ:@lotus_1022
作成日時:2019年9月9日 22時