白布姉 ページ16
弟が、苦手だ。
この世で1番苦手だ。
歳の差、一つ。
小さい頃は仲が良かった。
だけど、弟が10歳になる頃には、私の心が悲鳴を上げていた。
私と同じ塾に通いだすと、もともと頭の良かった弟はあっという間に私を超えていった。
……私がお姉ちゃんなのに。
私の影響で始めたバレーも、いつの間にか全く太刀打ちできないくらい差をつけられていた。
……私が、先に始めたのに。
弟の綺麗で整った顔。
対して私は、醜くて、背も低て。
彼の横に並ぶたびに惨めな気持ちに襲われた。
……私は、賢二郎と血が繋がっているのに。
どこへ行っても褒められるのは賢二郎。
……私が、私の方が、お姉ちゃんなのに。
真面目で器用で努力家な弟と、不器用で泣き虫で頭の悪い私。
比べる価値もない。
全てにおいて弟の圧勝だ。
弟もそれをわかっている。
いつの間にか、彼の私を見る目は、ひどく冷たいものになっていた。
.
弟は、高校進学を機に家を出た。
『白鳥沢学園』
下手したら、私の学校との偏差値は30を超えるかもしれないような、超名門。
頑張れば家から通えないような距離でもなかったが、きっと私がいることが嫌だったんだろう。
今彼は寮で生活しながら、絶対王者、白鳥沢の正セッターを務めている。
対して私は、平凡な公立高校。
大好きだったバレーも、辞めた。
……でもやっぱり諦めきれなくて、マネージャーとして選手を支えている。
わかってた。
マネージャーなんてやってたら
いつか、
いつか、弟に会ってしまう、なんてこと。
.
.
「け、んじろ……」
1年以上あっていなかった弟は、昔と同じ冷たい瞳をしている。
「……何？」
ああ、その目が苦手だ。
昔からずっと合わせられない。
「用がないなら話しかけて来ないで」
でも、今は
「待って！！！」
目の前の紫を引き止める。
「………ある、あるよ。
言いたいこと。」
手が震える。
声も上擦る。
だけど、今なら言える。
「………絶対、負けないから」
「っ！」
冷たい瞳を真っ直ぐ見つめて、
「烏野が、勝つから」
言える。
.
だって、私は
「Aー？行くぞー？」
「Aさーん！！！」
もう、1人じゃない。
もう、賢二郎を恐れていた頃の "A" じゃない。
変わったから。
馬鹿でブスで不器用だけど、
ちゃんと、
努力したから。
「…そうかよ」
その瞳は、もう怖くない。
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Yuna(プロフ) - 気長に待ってます！作者さまお体にお気をつけて、無理しない程度に頑張ってください！ (2月25日 10時) (
レス) @page38 id: 3728fbebde (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ - 白布姉の話クオリティ高すぎてもう普通に公式エピソードにあってもおかしくないくらいでした‥‥文のレべル高すぎません‥‥？ (2022年9月9日 21時) (レス) @page23 id: 9441486e53 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ - 私孤爪さん、国見さん好きなんですがもうこの話大好きです。「無人島に持っていきたいぐらいです」黒尾くんの話もすきで、カレーｗｗｗｗｗ 長文もうしわけございません。更新頑張ってください恐れながら応援しております。 (2022年8月22日 16時) (レス) @page37 id: 3a818a2bd4 (このIDを非表示/違反報告)
萌憂(プロフ) - 弧爪じゃなくて孤爪です。 (2021年2月9日 12時) (レス) id: f803e16cb6 (このIDを非表示/違反報告)
日詩(プロフ) - 茂庭さんのお姉さん書いてもらえますか？ (2020年12月7日 17時) (レス) id: 6c7e156b7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葵www | 作成日時：2017年4月23日 0時
