３６、 ページ37
・
俺が18歳に成長した、ある日の夕方
『ただいま』
いつも通り帰宅すれば
『ゔっ、なに…この臭い』
むせ返るような血生臭い香りが鼻腔を刺激した
『え、？』
一歩 部屋に入っただけで、足元から水の弾ける音が聞こえる
部屋の電気は灯っておらず、薄暗いまま
しかし
何が起こったかなんて、すぐに理解できてしまった
『父さん…母さんっ』
呼びかけに応えることなく、赤い液体を身体中から垂れ流して倒れている
『い、医者を…！』
俺は慌てて外に駆け出そうとしたが
棚の横で存在感を放つ影に気がついて、足を止めた
『だ、誰だ？』
本能では危険だと分かっているのに、聞かずにはいられなかった
きっと、そこに立つ人を知っているから
ヒタ、ヒタ…
俺の投げかけに、影は歩き出して姿を現した
「久しぶり、リョウタ」
『っ、ショウタ』
あの頃と変わらない面影を持ちながら、そこで笑っている
『やっぱり、俺のこと恨んでるよね』
母親の死の元凶となった俺を、今まで恨み続けて生きて来たのだろう
でも、だったら
『俺を殺せよ！！』
血塗られた体に掴みかかる
頼むから
お前のその爪で今すぐ切り裂いて欲しい
お前のその牙で今すぐ喰って欲しい
「ごめん、リョウタ」
『うがっ』
懇願しても届かず、俺は突き飛ばされてしまい
血の海に手をついた
窓からの僅かな光が
俺たちを照らす
「俺、リョウタのこと好きだから
お前だけは殺せないよ」
『っ、待って！』
風と共に、そんな言葉が聞こえた
『そんなの…俺も同じだよ』
両親を殺されたのに
俺は君を心の底から憎むことが出来ない
___________それから、俺たちが再会したのは現代で
君は姿を変えていた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1102人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
スメシ - スーさん» コメントありがとうございます。ストーリーに関しては結構練っていまして、そのようなお言葉を貰えてとても嬉しいです！応援、とても力になります！これからも楽しんでいただけるように精進いたします！！ (2021年3月18日 11時) (
レス) id: 2e3f726332 (このIDを非表示/違反報告)
スー - 今日このお話を初めて読ませていただいたのですが、ストーリーが素晴らしくて、とっても続きが気になりました…！！応援させていただきますので、これからも更新頑張ってください！！ (2021年3月17日 19時) (レス) id: 8ab2b29f53 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：スメシ | 作成日時：2021年3月8日 21時
