ハニーマスタード

はじまり始まり ページ28

仕事現場で時々会う人。
最初はそれだけ。

好みの顔か好みやないかって聞かれたら、
好みやったんやと思う。
第一印象なんて顔で判断するしかないもん。




仕事で失敗したのか、上司に怒られてて…
その失敗を二度と繰り返さないように自分で書いたであろうノートを読み倒す姿がなんかかわいくて声をかけた。


「大丈夫ですか？」

「え？あ、大丈夫です！
え？なにがですか？」


全然大丈夫な顔やないし、声かけたのがオレだったのに驚いたのかなんとも言えない顔…
意味も分からず大丈夫！と自信満々のウソついた瞬間がオレがAを好きになった瞬間だと思う。


この人とおったら楽しそうやな…
この人のことを応援してやりたいな…
そんな感情やったと思う。


オレの始まり。


めんどくさがりなオレがなんとか作った繋がり。
2人ではなかったけど、飲みに行ったり食事行ったりするようになった。


「今は編集の仕事でいっぱい勉強して、いつか撮る方になれたらなぁ〜…って、夢のまた夢だけど映画とか撮れたらな…って」


いつか話してくれた夢。
こっそり今も応援し続けてる。


「そんときはオレ使ってな。
それまでにオレも役者極めとくわ(笑)」

「重岡さんはあっという間に極めそう(笑)
その頃には私と仕事してくれないくらい差が出来てそうだな」


笑いながら話す横顔があまりにもかわいくて、2人きりの帰り道、キスをした。


2人の始まり。


好きとか、付き合おうとかハッキリしたのはなかった気がする…
で、今に至る。


あとは忘れたな……






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