ハニーマスタード

簡単な女 ページ27

「…本当に来た」

「行く言うたもん」


玄関を開ければ見慣れた顔。


「おつかれ、もう一緒の仕事終わりやな」

「寂しい？」

「いや全く」

「即答しないで、ムカつくから」


ハハハって笑って、手洗いうがいして定位置のソファーに座った。


「帰って来るの早くない？
もう打ち上げ終わったの？」

「終わった」


私は一次会でさっさと帰って来たけど…


「かわいい女の子たちのところに行くんじゃなかった？」

「うわぁ、盗み聞きか」

「声がデカいんだよ！」

「行ってほしくない、とか言うん(笑)」

「言いません！！勝手にどうぞ」

「かわいい女の子のとこ来てるけどな」


ニヤニヤ顔でそう言った。


「顔、ムカつく…」

「ちょっと嬉しそうにしとったくせに」

「してないです！騙されません」


必死で抗議してたら不意打ちのキス。


「仲直りのちゅー」

「そんなんじゃ許さない」

「こんなんなら？」


今度は長くて深いの……


「……許す、かも」

「簡単な女やな(笑)」


その発言はムカつくけど…
言い返す前に塞がれたから、文句は言えず…


素直にごめんって言えないお子様なんだから…


何回も繰り返されるキスにごめんも入ってる気がして、受け入れちゃってる私は本当に簡単な女な気がするけど…
とりあえず、仲直り。

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