わがまま。《Kazumi.S》 ページ4
月が荒れ果てた街を照らす夜。
西都と東都の代表戦はもう明日に迫っている。
戦兎も、龍我も、一海も、一緒に戦ってきた仲間だし信頼もしている。それでも、不安は積み重なる一方だった。
なにより、ここまで同じように戦ってきた赤羽や青羽、黄羽を見てきたあとだと不安はさらに積み重なる。もちろん戦兎や龍我も大切だ、でもそれ以上に愛する恋人である一海を失うことが怖かった。
『はぁ。、』
眠いという感覚も寝なくてはという思いもあるのに寝れる雰囲気はどこにもなく、かれこれ数時間経過しているだろう。
『外の空気吸いに行こ。、』
あまり音をたてないようにゆっくりとベッドから降り、部屋を出る。nascitaに寝泊まりさせてもらっている私は龍我くんや美空ちゃんを起こさないようにゆっくりと出入口に向かう。
……つもりだった。
「こんな時間になにしてんの。」
扉に手をかけた瞬間後ろから大好きな声が聞こえる。不安がバレないように笑顔で後ろに振り向く。
『ちょっと寝れなくて、さ。外の空気でも吸おっかなーって、笑』
不安を感じてることなんて一海にはバレバレなのだろう。自分でも手が震えているのがわかる。
ゆっくりと自分の方に近づいてくる一海に少しビクリとなる。そんな私を一海は優しく抱きしめ頭を撫でた。大丈夫大丈夫といいながら優しく頭を撫でてくる一海の服をギュッと掴む。
『一海』
震える声で名前を呼べば「ん?」なんてちゃんと私と目を合わせてくれる所も彼らしくて好きだ。
『今から、1個だけわがままいうね』
なにも言わず、真っ直ぐ私を見つめてくる一海。
『ほんとは、代表戦なんか行かないでって言いたい。仮面ライダーなんてやめてほしい。命をはるのも、やめてほしい。』
一海が北都で仮面ライダーになり始めてからずっと思っていること。今まで、国のため、みんなのためと自分で納得させていたものが溢れ出る。それでも、そんな私になにもいわず、しっかりと私を見つめていてくれる。
1度大きな息を吐き、一海に抱きつく。
『でも、きっとそんなこと言っても一海は聞かないよね。だから、必ず無事で帰ってきて。雷さんに勝って、無事で、私達のもとに。』
みんなのために、そして国のために戦う一海にいえる精一杯のわがままだった。
それを聞いた一海はふふっと笑い、私の顔を両手で掴んであげる。
「あったりめーだろ、そんなの。」
笑顔でこっちを見つめる一海に不安は消えた。
そのままソファで一海と眠りについたのは言うまでもない。
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めい(プロフ) - 麦さん» お答えするまで何ヶ月も待たせてしまい、本当に申し訳ありません。こんな私でよければ是非書かせてください。いつも読んでいただき、本当にありがとうございます。 (2020年4月15日 4時) (レス) id: 44054d4fe5 (このIDを非表示/違反報告)
麦 - 初めまして。いつも読ませていただいてます!リクエスト宜しいでしょうか?滅亡迅雷の滅で激甘をお願いします。夢主は普通の人間という設定で宜しくお願い致します! (2019年11月5日 19時) (レス) id: 4110a8b533 (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - ひよりさん» こちらこそリクエストありがとうございました!!そう言っていただけて本当に良かったです……!! (2019年11月5日 1時) (レス) id: 44054d4fe5 (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - すももさん» わあ、そう言っていただけてとても嬉しいです……!!もちろんです、リクエストありがとうございます……!!! (2019年11月5日 1時) (レス) id: 44054d4fe5 (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - 夢宇さん» お返事が遅くなってしまってすみません、もちろんです!! (2019年11月5日 1時) (レス) id: 44054d4fe5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めい | 作成日時:2019年1月2日 20時