19 ページ19
インターホンを押すとすぐにドアが開いた。
心配そうな顔が覗く。
『突撃しに来た』
笑って言うと少しホッとしたのか
「急すぎ」
ってわざと顔をしかめさせながら中に入れてくれた。
『ごめんって、アイス買ってきたから』
「お前が食いたいだけだろ」
『じゃあ翔太いらないの？』
「いや食うけど」
コンビニの袋を翔太に渡してから洗面所に向かう。
手を洗って出てくると、冷凍庫にアイスを詰め込んでいた。
いつもみたいにベッドを背もたれにして座ると、
「なんかあった？」って携帯をいじりながら翔太も隣に座ってきた。
あくまで興味なさそうなスタンスを保ちながら、私が話すのを待っている。
その優しさに、ガチガチだった心が緩んだ。
「…A？」
『……元カレ、』
「え？」
『……元カレに、会った、』
突然押しかけておいて理由を言わないのはダメだろう。
小さくそう呟くと、一気に翔太の顔が固まった。
何で顔してんの、と少し笑ってしまう。
『……可愛くなったね、って言われた、(笑)』
「可愛げがない」と私を振った彼に。
愛想良くして、大袈裟にリアクション取って、
テンション高く聞こえるように声を高くして。
自分に化粧をしまくって、やっと、
『……可愛くなったんだって、私』
「…、」
言いながらまた視界が滲む。
泣きたくなんかないのに、目頭が勝手に熱くなった。
……可愛いよ、そりゃ。
だって私じゃないんだもん。
厚く化粧を重ねた、嘘の私なんだもん。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1387人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かな(プロフ) - 一気読みしました!とっても素敵なお話でした！ (2021年11月14日 8時) (
レス) @page33 id: 22fe685296 (このIDを非表示/違反報告)
まゆみ(プロフ) - ところどころ、名前が変換されない所がありました。 (2021年11月13日 21時) (レス) @page34 id: 15fffef845 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：めい
| 作成日時：2021年11月12日 23時
