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サア、と風の音だけが聞こえる。
…こんなに私のことを想ってくれる人、他にいない。
こんなに優しい人もいない。
康二くんなら、絶対私を幸せにしてくれる。
『……康二くんといて、楽しくなかったこと、
1回もない』
そう言うと、彼の目が少しだけ期待の色に変わった。
本当だよ。
本当に、あなたの心の温かさに何度も救われた。
『…でも……ごめんなさい、』
ゆっくり頭を下げる。
ごめんね。
こんなに想ってもらったのに。
『…私…バカなんだよ……』
私が泣くのはおかしい。
わかってるのに、込み上げてくる涙を止めることができない。
自分がバカで、どうしようもないバカで。
『康二くんといれば、幸せになれるに決まってるのに』
「っ、なら、」
『なのに…ずっと、ふっかのことばかり探してる』
ふっかの面影を探して、思い出を辿って、
『終わらせたいのに…忘れたいのに、』
「…」
『…まだ、好きなの…っ、』
だからごめんなさい。
もう1度頭を下げた。
「…顔上げて、Aちゃん」
『…っ、』
「Aちゃん」
恐る恐る顔を上げると、
少し瞳を濡らして、愛おしそうに私を見つめる康二くん。
「俺、嬉しかった」
『…え…？』
「Aちゃんが俺の前で泣いてくれたこと」
優しい声に、また涙が込み上げてくる。
「ふっかさんの前ではずっと気持ち隠してたのに、俺の前では素直になってくれたこと」
『…っ、』
「それだけで、俺は十分」
そう笑って、私の頭に手を置いた。
「俺はずっと、Aちゃんの味方やから」
『…康、』
「やから安心して、ふっかさんの前でも素直になってみて」
なんかあったら、また俺のとこに泣きにくればええから。
そう言って、
オレンジの光の中、康二くんが笑った。
『…っ』
わしゃわしゃ撫でられて、声が出ないから精一杯頷く。
ごめんね。
いっぱい助けてもらったのに、
いっぱい優しくしてもらったのに、ごめんね。
『…康二くん、っ』
「ん？」
『……ありがとう、』
私" が " いいって言ってくれて、
好きになってくれて、ありがとう。
「…おん！」
そのタイミングで段々と夕陽が沈んでいく。
オレンジの世界が、ゆっくりと消えていった。
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スノ姫 - 良かったです。素敵でした。感動して泣けて来そうでした。1ヶ月、彼女のフリが最終的には本当の恋人になるですから、それ位に両想いで好きだったって事ですよね。いいですね。こう言う恋。 (2021年11月14日 17時) (
レス) @page40 id: 61c754dd4c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めい
| 作成日時：2021年11月12日 21時
