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すると、
「…どうしたの、A」
ってふっか。
『…』
言えるわけない。
1ヶ月なのが悲しいです、つらいです、なんて
そんなの本人に言えるわけない。
1番言えない。
『、いや、あの、もう大丈夫』
「…」
『デッサンのこと相談してただけだから。なかなか終わらなくて』
「…ほんと？」
「ほんとだよ。提出やばくてさ』
そこまで言って、ふっかの腕をスル、と抜けた。
平気かな。普通に笑ってるように見えるかな。
精一杯、本当のことみたいに聞こえるように振る舞う。
『だからもう平気。康二くんもありがとね』
ちょっと自販機行ってくるって言って、走ってその場を後にした。
階段を降りて自販機まで行って、特に欲しくもないソーダを買う。
…何で2人とも、急にあんな空気になったんだろう。
ガコン、とペットボトルが落ちて出てきた。
別に飲みたくもなかったけど美味しかった。
.
『ねえ、どこ行くの？』
「ん〜どこだろね〜」
『ねえってば』
「わかんないね〜」
『ケチ』
「ケチじゃねえよ！」
土曜日、電車に揺られながらやんややんや言い合う。
いろんなことを考えてテンションが下がり気味の私に、ふっかが土曜暇？って声をかけてくれた。
だけど行き先を一向に教えてくれない。
何度聞いても「ん〜」ってはぐらかされる。
窓の外を見てどこか考えようとしたら、ほっぺ掴まれて強制的に前を向かされた。
『じゃあヒントちょうだい、ヒント』
「まああれだよね、楽しいとこだよね」
『例えば？』
「例えばって何？」
2人でケタケタ笑い合う。
…こういう時間は楽しいのに。
ふとした瞬間、別にふっかは私を好きじゃないってハッとする。
私だけが好きで。私だけがこのままが良くて。
それを考え出すと止まらない。
苦しくて、悲しくて、痛い。
「でさ。… A？」
『ん？あ、ごめんボーッとしてた』
「なんかさ、平気？最近」
サラッとなんかあった？ってふっか。
『…んー、寝不足くらいかな』
「…そっか」
『なのにふっかが行き先教えてくれないから余計眠い』
「ごめんて」
「あ、ほらもう降りる」って手を取られた。
細長い指が絡まる。
手を繋ぐってだけの簡単なことに、私は毎回ドキドキする。
ふっかと違って毎回意識してしまう。
私だけ。全部全部、私の一方通行。
そんなの前からそうだったのに、
幸せを手にした今の方が、ずっと苦しい。
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スノ姫 - 良かったです。素敵でした。感動して泣けて来そうでした。1ヶ月、彼女のフリが最終的には本当の恋人になるですから、それ位に両想いで好きだったって事ですよね。いいですね。こう言う恋。 (2021年11月14日 17時) (
レス) @page40 id: 61c754dd4c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めい
| 作成日時：2021年11月12日 21時
