きみがため【呪術廻戦】 (ページ41)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:161,735 hit

41話ページ41

『お断りします』

いつもは「ありがたいお誘いですが」と社交辞令も忘れずにやんわりと断っているが、そんな気も起こらない

「今なんと？」

『お断りします、私より強い人がタイプなので』

「ははっ冗談を、君より僕の方が強いに決まっているではないか。それに強さだけでは生き残れない、頭の良さも必要なんだよ。その点では僕は優秀だ。」

少し正論を言われイラッとする

この人に言われると余計にイラッとする

私を道具として使おうとしている癖に。

『…そうですね、では生き残るために沢山仕事をしお金を稼ぐとしますね。』

仕事を沢山入れあなたの思い通りにはいかない宣言をするとしびれを切らしたのかわなわなとふるえている

「さっきからペラペラと、減らず口を…」

彼が口を開いたと思ったら次には手に湯呑みを持っていた

長時間の正座、やたらと綺麗に着付けられた着物のせいで咄嗟の判断が遅れる

中の物を被れば断る理由も増えるだろうと思い途中で避けるのを辞め目を瞑る

────すぐにかっとなる自称優秀な彼が馬鹿でよかった

「ちょっとー困るよこんなことされちゃ」

一向に熱いであろうお茶の熱さも何もこない、その代わりに出張で他県まで行っている筈の五条先生の声が聞こえ、かけられたお茶から守る様に肩を抱き寄せられている

「可愛い顔に痕でも残ったらどうするんだよ」

いつもおちゃらけた声ではなく何トーンも低くなった声

私に向けられていないとわかっていながらも少し怖いと感じてしまうくらい怒っていることがわかる

「い、いや、違っ」

五条先生の登場で顔を青くしている彼

「さて、説明してもらおうか」

「ひっ、ひぃ」

怯えた様子の彼は情けない声を出し部屋から出ていく

角を曲がった所で通りかかった誰かと出くわしたのか、彼の情けない悲鳴が聞こえた。